日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
「サプライズ」は小笠原満男!?
“日本の心臓”に求められる役割。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2010/04/19 10:30
2月のベネズエラ戦や香港戦の直前にはボランチとして練習し、またボランチ起用が報道されていた小笠原。ところがいざ本番では何故か攻撃的MFとして起用されてしまう……
W杯本大会メンバーは5月10日に発表される見通しとなった。23人枠にプラスしてバックアップの5人が選出されるという。バックアップは基本的にロンドン五輪世代の若手が中心。28人で発表して登録期限の6月1日に23人に絞る案も浮上していたようだが、結局は23人枠とバックアップ枠を分ける「23人+5人」の発表で落ち着くことになりそうだ。
岡田武史監督はセルビア戦の前、本大会メンバーについて「7割方決まっている」と発言した。既に16、17人のメンバーを心に決めており、残り6、7人を誰にするか迷っているという段階であった。
想像するに6、7人の内訳は主にFW、第3のCB、サイドバックの控え、攻撃的な切り札あたり。おそらくボランチのポジションは遠藤保仁、長谷部誠の2人をベースとして、メンバー入り濃厚な稲本潤一、阿部勇樹、今野泰幸、それに代表では2列目で起用される中村憲剛と役者がそろっているため、あまり苦悩の対象になっていなかったはずだ。
セルビア戦の完敗で浮き彫りになった長谷部の重要性。
しかし、セルビア戦の完敗で6、7人の内訳が変わってくる可能性はある。
この試合であらためて浮き彫りになったのは長谷部の重要性だった。前半にコンビを組んだ稲本と阿部はいずれもアンカータイプ。長谷部のような機動力を活かしたタイプではないため、攻撃になると周囲と絡みながら前に出ていくというシーンがほとんど見られなかった。攻撃に連動性が生まれなかった要因のひとつでもある。
「撃ち合いだったらイナとか阿部ちゃんのいいところも出たと思うけど、(相手に引かれた)今日のシチュエーションだとそうはいかない。そうなると(ボランチまで)ボール回しに参加しないと前まで行けない」と試合後のミックスゾーンで中村俊輔は、攻撃の組み立てが難しかったことを口にしている。
長谷部は岡田ジャパンの心臓部で、不動のボランチとしてこれまで固定されてきた。チームトップの運動量を誇り、攻撃ではひるむことなく前に向かえる推進力がある。守備ではポジショニングもよく、状況判断も長けている。今の岡田ジャパンに長谷部と同じような役割をこなせる選手がいないために、彼が抜けるとあからさまに影響が出てしまうのだ。23人のメンバー構成を考えるならば、「長谷部型」をしっかりとこなせるボランチを一枚入れておくという選択肢が出てきて当然だ。