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西武の優勝を担う未完の大物投手。
菊池雄星と大石達也の覚醒なるか。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/02/09 10:30
2月に行われる予定の紅白戦では、さっそく菊池雄星と大石達也の先発での対決も予定されているという西武ライオンズの春季キャンプ。「アンダースローでもサイドスローでも、とにかくいい真っすぐを投げたい」と、連日140キロ越えの投球に自信をのぞかせる菊池
2011年の西武は、クライマックスシリーズ進出という最低限の結果は残したものの、先発投手陣の崩壊に苦しんだ。
ベテランの西口文也が11勝を挙げ復活を遂げたのはよしとしても、チーム全体で2けた勝利をマークしたのは彼たったひとり。エースの涌井秀章をはじめ岸孝之、石井一久と主戦投手が軒並み不振に陥った。そのため、今季の西武が投手陣の再建を至上命令に挙げるのは当然でもあった。
「チーム防御率を2点台にしたい。2けた勝利のピッチャーを4人ほしい」
春季キャンプ前日、渡辺久信監督はそう高々と宣言した。
手に入れた、プロとしての身体と精神力。
指揮官が期待する選手は明確だった。
菊池雄星と大石達也。
ドラフトではともに「超目玉」と騒がれ、6球団から1位指名を受けながら故障などによりこれまで明確な結果を残せていない。しかし、現実問題として、渡辺監督が「出てこないと困る」と言うように、菊池と大石が本来の実力を出さなければチームとして優勝を目指すのは難しい。だからこそ、指揮官は名指しではっぱをかけるのだ。
「何が変わったって、ケツから左太ももにかけての盛り上がり。この2年で大きく変わったよね。ブルペンの後ろから見ていてびっくりした。馬みたいだった」
2月2日。この日初めてブルペンに入った3年目の菊池の姿を見て、渡辺監督は嘆息を漏らした。
最速155キロ。
'10年に鳴り物入りで入団した菊池だったが、春先に左肩を故障。一軍登板はおろか、二軍でもわずか2試合の登板という屈辱の1年を味わった。
2年目は念願のプロ初勝利をマークしたものの4勝。ローテーションを維持することはできなかった。