MLB東奔西走BACK NUMBER
ダルビッシュとメジャーを熟知する男、
木田優夫が語る「約束された成功」。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/02/08 10:31
アリゾナ州サプライズで行なわれるレンジャーズのキャンプインは2月23日を予定している。メジャーのマウンドで投げるその日を、現地のファンも心待ちにしている
問題はダラスの“酷暑”ではなく、“寒さ”。
これまでも本拠地ダラス(正確にはアーリントン)の酷暑、中4日の調整法などいくつかの不安材料が指摘されているが、木田は多くの“引き出し”を持ち合わせているダルビッシュの適応力があれば問題ないだろうと推測する。
「暑さに関しては問題ない。逆に心配なのは寒い方だと思います。これまで2年間見てきた彼の練習量などを考えれば、暑さのためへばって投げられないというのは、考えづらいです。
実際日本で完投するときは150球ぐらい投げていましたし、そこから中4日で7回ぐらいまで投げるというピッチング・スタイルにする際に、彼がどうやって(調整して)いくかというのが多少出てくると思う。ただ、ファイターズでも次回が中4日、5日でいくときは100球とかに抑えて、次の登板に備えるようにやっていた。だから、その都度考えながら1年間やっていけばいいんじゃないでしょうか。
また、屋外球場が苦手とか言われているようですが、実質的にそんなに(屋外で)投げていないだけです。仮に地方球場が(屋外球場に)入っていると考えると、地方球場のマウンドは悪すぎたりして、あまり参考にならない。またあえて言うなら、彼の投げ方は昔風の日本の柔らかいマウンドに合わないのかもしれない。地方球場などの柔らかいマウンドだと、投げづらさを感じながら投げていたのかもしれない。同じ屋外でもメジャーの球場はきちんとした球場で、きちんとしたマウンドしかないのだから比較しようがないし、問題ないと思います」
ダルビッシュが初めて出会う、自分より優れたピッチャー。
そして木田は、彼の期待も含めてメジャーでの活躍について次のように語ってくれた。
「数字(成績)に関してはわからないです。勝ち星や防御率はチーム事情にもよるし、その時々の運、不運も重なってくる。ただダルビッシュが1年間ローテーションを守ってレンジャーズの勝利に貢献するということは、ある程度そうなると思えますね。
昔のことですけど、イチローが首位打者をとれなかった(メジャー)2年目に話をしたとき、『世の中にお前より打つヤツがいたな』と切り出したら、『何言ってるんですか。だからメジャーに来たんですよ』と彼自身言っていました。ダルビッシュも日本ではずば抜けた存在だったけれど、メジャーで自分よりいいぞというピッチャーに巡り会うかもしれない。もちろん巡り会わないかもしれない。それでも、そのために挑戦しにいくわけですから。いずれにせよ、日本的な数字だけでダルビッシュを評価しなければ、彼はメジャーでスーパースターになれるピッチャーだと思います」