スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
新戦力の補強と2大激戦区。
~今季のMLBに漂う混戦の気配~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2012/02/10 12:15
レンジャーズの浮沈のカギは、“1000万ドル男”ダルビッシュ有が握る! 左は、レンジャーズの主砲ジョシュ・ハミルトン。投打の注目選手が並んで握手をした貴重なツーショット
ストーヴ・リーグがあらかた終わった。
ヴラディミール・ゲレロやロイ・オズワルトやジョニー・デイモンやラウル・イバニェスや松井秀喜の行方はまだ決まっていないが(2月9日現在)、それ以外の有力選手は、ほとんどが落ち着くべきところに落ち着いた。
では2012年のペナントレースを予想してみようか、ということになりそうだが、それはいくらなんでも気が早すぎる。春季トレーニングが始まってみないことには個々の調子もつかめないし、だれがまた大きな怪我をしないとも限らないからだ。
とはいうものの、概略を予想することはできる。どの球団が補強に成功し、どの地区が面白くなりそうかを読むことならできる。今回はまず、アウトラインだけを読んでみることにしよう。
「あとひとつアウトを取れば……」の無念を抱くレンジャーズ。
ストーヴ・リーグ最大の勝者は、なんといってもレンジャーズだ。
あとひとつアウトを取ればワールドシリーズ制覇、という悔しさを2度も味わえば、やはり補強にも力が入る。その成果が、ダルビッシュ有と抑えの切り札ジョー・ネイサンの獲得である。一方で、失った駒は先発投手のC・J・ウィルソンと救援投手のダレン・オリヴァー。
収支決算は明らかに黒字だ。
ネイサンは期待を裏切らないだろうし、ダルビッシュは予想を超えた活躍をする可能性がある。
総合力を増した有力球団はほかにもある。ヤンキースとエンジェルスだ。
ヤンキースはマイケル・ピネダと黒田博樹を獲得して、先発投手陣をがっちりと固めた。成長株の捕手ヘスス・モンテロの抜けた穴は大きいが、DHの補充はヴェテランの併用でなんとか乗り切ることができるはずだ。