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ダルビッシュとメジャーを熟知する男、
木田優夫が語る「約束された成功」。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2012/02/08 10:31

ダルビッシュとメジャーを熟知する男、木田優夫が語る「約束された成功」。<Number Web> photograph by Getty Images

アリゾナ州サプライズで行なわれるレンジャーズのキャンプインは2月23日を予定している。メジャーのマウンドで投げるその日を、現地のファンも心待ちにしている

「チーム一番目の投手という存在になるかどうか」(木田)

「メジャーに与えるインパクトについてもわかりません。野茂がデビューしたときは、久々の日本人選手だということと、彼の投球フォームで人々に衝撃を与えたと思う。またイチローがデビューしたときは、初めての日本人野手でいきなり首位打者をとり、また守備も併せてメジャーの中でもなかなかいないプレースタイルを見せつけたから驚かせたと思う。でもダルビッシュはシンプルなスタイルで凄い投手。凄い投手だと思わせるだろうけど、野茂やイチローのようなスタイルが異なることでの驚きは少ないと思いますね。

 僕が注目しているのは、彼がこの先チーム一番目の投手(エース)という存在になるかどうかです。レンジャーズは過去2年間リーグ優勝しており、ある程度チームが出来上がっている中で、今年すぐにエースになれるかどうかはわからない。もちろんすぐになってほしいですけど。ただこれから先、30歳手前から40過ぎまでレンジャーズとは限らないですが、そのチームの1番目のピッチャーはダルビッシュだという存在になって欲しい」

サイ・ヤング賞獲得へ向けた前代未聞の挑戦。

 同じくLAで自主トレを行なっているエンゼルスの高橋尚成投手にも話を聞いたところ、「ダルビッシュはやってもらわないと困るし、絶対にやると思う」と力強い答えが返ってきた。

 期待に胸が膨らむダルビッシュのメジャー入りだが、彼が入団と同時に“前人未踏”の挑戦を余儀なくされていることを忘れてはならない。

 今回の入団交渉で期限ギリギリまで話し合われた契約期間だが、6年契約ながらサイ・ヤング賞獲得などの一定の成績を満たせば5年でFA資格を得られるという付帯条項をつけたと大々的に報じられた。

 一般的にはこの付帯条項はメジャー一流選手の契約に盛り込まれるものだと解説されていた。ESPNではこの条項のさらに詳細を報道。

「サイ・ヤング賞を獲得したほか、他のシーズンでも同賞投票で3位か4位。もしくは同賞投票で2位に入り、他の2シーズンで3位か4位に入れば5年で契約破棄できFA資格を得られる」としている。この条項クリアはダルビッシュにとってとてつもない挑戦といえるのだ。

【次ページ】 レンジャーズ本拠地でホームランが出やすい本当の理由。

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