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フェラーリとマクラーレンの大誤算。
ベッテル楽勝を導いた、雨のセパン。
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/04/05 14:30
スタート直後の第1コーナーでトップに立ち、前2戦とは異なりノートラブルで優勝したベッテル
「レースは最初の500メートルで決まったよ」
この予選では、レッドブルのウェバーがポールポジション、メルセデスGPのロズベルグを挟んでベッテルが3位となった。決勝が晴れてしまったので、マクラーレン、フェラーリ勢がレース中に上位へ上がってくるまでに、トップ3が手の届かぬところへ逃げてしまうのは必定。
案の定、スタートで早くもロズベルグを蹴落としたベッテルがウェバーのスリップストリームに入って、1コーナー進入でオーバーテイク。アッと言う間にレッドブルのワン・ツー態勢が確立され、1時間34分後にそのままチェッカー。
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは「ま、レースは最初の500メートルで決まったよ」と、笑っていた。
フェラーリ、マクラーレンは過去にも同じミスを!
それにしてもフェラーリ、マクラーレンのなんという失態! それも天気図に頼って大ドジを犯すのはこれが初めてではないから始末におえない。過去の典型的な例では、2008年の雨のイタリアGP予選(トロロッソのベッテルがポール・ツー・フィニッシュで初優勝)で、ライコネン、ハミルトンが予選早期敗退した時だろう。フェラーリもマクラーレンもさんざん痛い目に遭っているのに、また懲りずに“やってもうた”のだ。
日本人のあるレース関係者が首を振りながらこう言った。
「あくまで私見ですが、なんという学習能力のなさ! 雨の時は雨用タイヤでいち早くコースインして、ずっと走り続けるのがセオリー。雨の状態はコンピュータの天気図ではなく、コースに出ないと分からないんですから!」
2週間後は上海での中国GP。昨年は大雨となり、この時もレッドブルがワン・ツー・フィニッシュを飾った。フェラーリ、マクラーレンの汚名返上に期待したい一戦である。