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野口みずきが4年ぶりにフルマラソン。
大阪国際女子にかける再起への願い。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byToshiya Kondo

posted2012/01/16 10:30

野口みずきが4年ぶりにフルマラソン。大阪国際女子にかける再起への願い。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

大阪国際女子マラソンへ向けての出場記者会見では「(五輪出場の機会では)最後かもしれないので強い気持ちで臨みたい」と語った野口みずき

「自分の夢を捨てたらだめだなと思いました」

 野口自身、故障との闘いの日々を振り返って言う。

「北京五輪を欠場して以降、回復しては故障してと何度も繰り返して、何度もあきらめようと思いました」

 それでも、「いつかは走る」という気持ちが途切れることはなかった。

「ファンの人たちに、何年たってもロンドンを目指してほしいという言葉をいただいて、自分の夢を捨てたらだめだなと思いました。また、身近なスタッフの支えもあって、あきらめかけていた心を回復させていました」

 もう一度マラソンを走りたい。

 強い思いとともに、身体のケアに慎重かつ地道に取り組み、練習中には、「自分はできる、自分はできる」と自分に暗示をかけるように唱え続けた。

 執念の末に這い上がり、今、ようやく走りに手ごたえを得られるまでになった。昨年10月に実業団女子駅伝西日本大会で復帰すると、3区で区間賞を取る快走を見せたのだ。

思い出の地・大阪のレースで悲願のフルマラソン復帰へ。

 その後のトレーニングも順調に推移してきたと言う。

「4年ぶりとは思わせないような走りが少しずつ出来てきています。(11月に走った)オランダの15kmのレース以降、30km、40kmの距離を走っていて、特に30kmは、'07年の東京国際女子マラソンの前に練習で走っていたタイムに近いくらいに仕上がってきました」

 こうして野口は、大阪国際女子マラソンでフルマラソン復帰を果たそうとしている。大阪は'03年、日本歴代2位(当時)の2時間21分18秒で優勝、同年の世界選手権代表を決定づけた思い出の地である。

「なんていうか、動物的な勘もあったのですが、'03年に応援がすごく力になったので、今回も大阪の人、いや大阪の人にかぎらず、関西の人の応援を借りたいと思って選びました」

福士加代子、ディタら国内外の有力選手が立ちふさがる。

 今大会には、トラックの第一人者、福士加代子が、北京五輪で果たせなかったマラソンでのオリンピック出場を目指し出場する。そのほかの国内勢では、昨年の世界選手権代表の野尻あずさもいるし、シドニー、アテネ、北京と3大会連続でマラソン代表選手を送り出している天満屋から成長株の重友梨佐やアテネ五輪で入賞している坂本直子らがエントリーしている。彼女たちもむろん、ロンドン五輪の代表入りを目指して挑んでくる。

 さらに海外からは、北京五輪金メダリストのコンスタンティナ・ディタらが参戦する予定だ。

 手ごわいライバルたちがそろう。

【次ページ】 「早く走りたいなという気持ちが湧いてきています」

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