野ボール横丁BACK NUMBER
楽天まさかの開幕3連敗。
野村前監督との因縁が原因!?
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNaoya Sanuki
posted2010/03/23 13:20
楽天がまさかの最下位スタートとなった。岩隈久志、田中将大、永井怜という強力な3本柱を擁しながらも、昨年、最下位のオリックスにいきなり3連敗を喫してしまったのだ。
名誉監督、野村克也氏の術中にはまってしまったという気がしないでもない。
というのも、パ・リーグの開幕前々日、新番組の会見で、野村氏が今季の順位予想を行ったのだが、注目の楽天の順位予想は、なんと5位。そして、また、その言い分が振るっていた。
「恨みが入ると6位だが、お世話になったということで5位にしましょう。昨年の2位は運がよかった」
実に大人気ない。でも、おもしろい。自己否定といえばそうなのだが、本人はそんなことはまったく気にしていない。
このコメントを聞いて、野村氏の人気の秘密が改めてわかったような気がする。口は悪いのだが、やはりどこかチャーミングというか、憎めないのだ。もはや、この「野村節」は一種の芸といってもいい。
ヤクルト時代も楽天時代も選手を腐して成長させたが……。
だが、開幕前日、この順位予想に楽天のブラウン監督がかみついた。選手を集め、こう宣言したという。
「万が一、5位でシーズンが終わるようなことがあったら、オレはみんなの前で土下座する。みんなで予想をやっつけよう!」
こんな光景、どこかでも見たような……。
そうだ、ヤクルト時代も、楽天時代も、同じように選手を腐し、それに発憤した選手たちがチームの順位を押し上げていったのだ。
ヤクルトでは、古田敦也、池山隆寛、広澤克実がその代表格だ。楽天でも、岩隈久志、田中将大、鉄平らがそうだった。
もし野村氏がまだ監督だったら、きっとこの開幕カードは、ぼやきっぱなしだったことだろう。それがなかったからというわけでもないのだろうが、やけにすんなりと3連敗してしまったような印象が残る。
野村氏は名監督か否か――。
正直、私はこの問いを突きつけられるたび、大いに迷う。