野村前監督は本当に計算ずくで腐しているのか？

　野村氏の言葉の多くはなるほどとは思うものの、さほど目新しいわけでもない。戦術に関しても、ほとんどの関係者が「言動に惑わされることはあっても、やっていることはオーソドックス」だという。

　しかし、一点だけ、やはり名監督なのではあるまいかと思うのは、この選手やチームの腐し方である。阪神では失敗してしまったものの、ヤクルト、楽天では、結果的にこれが奏功した。

　ただし、名監督と呼ぶには、これが計算ずくでなければならない。だが、そこが今ひとつ、わからないのだ。

　今回のこの順位予想におけるコメントを聞く限り、やはり、単に感情的になっているだけのようにも思えてしまう。

本当は今季に期待しているが、ブラウン采配に疑問符も。

「人間は無視、称賛、非難の段階で試される」

　野村氏がよく使う言葉だ。これが人間を育てる原理原則なのだそうだ。要するに、どうでもいい選手は無視し、少し見込みが出てきたら称賛し、主力クラスになったら非難するのだという。

　つまり、この法則に従えば、今年の楽天は期待されているのだということになるのだが、真意は果たしてどうなのだろう。

　ただ、この「期待しているからこそ厳しく接するのだ」式の論法というのは、実に便利な言葉だ。予想が当たれば自分の言った通りだとなるし、外れたら発憤を促すために言ったのだということになり、結果がどう転がろうとも、発言者の手柄になるよう仕組まれている。

　それにしても、ブラウン監督も、3連敗したことはともかく、その内容がすべて1点差だったというのはいただけない。監督の采配を疑問視されたとしても仕方がないところだ。

　野村氏の挑発に我を失ってしまったというわけではないのだろうが、闘うべき相手だけは見誤らないで欲しいものだ。敵はグラウンドの外ではなく内にいる。