メディアウオッチングBACK NUMBER
湘南のJ1昇格を支えた、
女性広報のお仕事を紹介。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byShigeki Yamamoto
posted2010/03/19 06:01
湘南ベルマーレ・コーポレートメディアオフィサー、遠藤さちえさん
昨シーズン、最終節で劇的なJ1復帰を果たした湘南ベルマーレ。苦節10年の陰には、クラブを支える裏方たちの地道な努力があった。中でもたった一人の広報担当としてクラブの魅力を発信し続けてきた遠藤さちえさん(写真)は、その明るい性格と常に前向きな姿勢でメディア関係者にもファンが多い。遠藤さんにJクラブの“広報のお仕事”について話を聞いた。
「普段は、メディアの皆さんへの取材対応と、クラブの情報発信が主な仕事です。最近は情報発信の部分が大きくなっていますね。プレスリリースはもちろん、ホームページや携帯サイト、メールマガジンなどを使って、タイムリーに情報を伝えることが大事になってきていますから。あとは、クラブの露出がまだまだ少ないと思っているので、自分で企画を書いて各メディアに持ち込んだりもしています」
積極的に企画を発信する、そのモチベーションはどのようにして生まれるのか。
「昨季は反町(康治)監督が発する言葉の力や、ドラマチックな過去を持つ選手の奮闘ぶりなどを伝えたいと思ってました。ただ、チームは生き物なので、タイミングを逃したら、この話は表に出ないかも知れないという危機感がいつもあります。監督や選手がどれだけ情熱を傾けてサッカーと向き合っているのかを肌で感じるので、その熱い思いを多くの人に知ってもらうことが私の使命だと感じています」
ベルマーレのスポーツはサッカーだけに留まらない。
シーズン中は試合にも帯同するので、かなりの激務となるようだ。
「試合はほぼ全部行きますね。ベルマーレは総合型スポーツクラブで、サッカーをはじめフットサルやビーチバレーなど5競技かかえていますから、土日はダブルヘッダーで試合を回ることもあります。試合がない日は練習に出て、取材対応をして、夕方くらいからデスクワークを始めます。出前やコンビニのお弁当を食べて、深夜まで仕事をすることも多いですね。休みもあまりありませんが、14年間働いてきて一度も病気をしたことがないのが、私の一番の自慢です(笑)」
そもそも、Jのクラブで働きたいと思ったきっかけは何だったのか。
「高校時代、サッカー部のマネージャーだったんですけど、頑張ってる選手を支えるという仕事がすごく面白くて、将来もこんな仕事を続けたいと。短大への進学が決まっていましたけど、全部のJのクラブに『入れてください!』とアプローチしました。4、5チームくらいは実際に会ってくださったんですが、ベルマーレにしつこく何度も通ったら、根負けしたのか採用してくださったんです。キャリアも特技も何もない私を採っていただいたので、仕事を一所懸命やることが恩返しになると思ってやってきました」