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“修理屋”ラニエリでもお手上げ!?
インテルが直面する未曾有の危機。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2011/10/22 08:01

“修理屋”ラニエリでもお手上げ!?インテルが直面する未曾有の危機。<Number Web> photograph by AFLO

ユベントスやローマなどの立て直しを図ってきた実績を買われたクラウディオ・ラニエリ。10月29日のユベントス戦、11月2日のCLリール戦(ホーム)が序盤の山場となる

故障者が続出する不運に“修理屋”は逆上で退場処分も。

 新指揮官ラニエリが期待を寄せるのは、3冠を達成した4人のDF(マイコン、ルシオ、サムエル、キブ)だが、平均年齢31.5歳を数える彼らにはコンディションの不安がつきまとう。攻めるも守るも、インテルにとって長友のスピードとタフネスが貴重なオプションであることは変わりない。

 しかし、キブの負傷で前半から途中出場した6節ナポリ戦では、失点につながる致命的なミスを犯してしまう。新たな指揮官の下、おぼつかない手つきで積み上げた2つの勝利の甲斐なく、チームは3失点惨敗。誤審に激昂したラニエリは主審を罵倒し、退場処分を課された。

 代表戦による中断期間中に仕切り直しを図るも、スイス2部チームとの練習試合でまさかの完封負け。ウルグアイからはパラグアイ戦に臨んだFWフォルランが左太もも二頭筋の肉離れを起こし、最低1カ月の戦線離脱という凶報が届く。事ここに至って、今夏アンジへ放出したFWエトーのレンタル復帰説まで取り沙汰されるほど、インテルを取り巻く状況は混迷の一途をたどった。

カターニャの突破を許した長友にもメディアの矛先が。

「やるべきことが多すぎる……」

 リーグ再開後、雨中の7節カターニャ戦で逆転負けを喫すると、ラニエリは力なくうなだれた。前半リードしたインテルは「まるで残留争いをするレッチェやボローニャのように引きこもった」(『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙)挙げ句、カターニャの反撃にされるがまま、闘志の欠片も見せなかったと酷評された。

 左サイドバックで先発フル出場した長友も「マークした相手MFがクリスティアーノ・ロナウドに見えるほど(突破を許した)」(同紙)と批判を受けた。“インテルの長友”となって2シーズン目、彼はいまだ乱高下する自らの評価を確定させる必要がある。

 今、インテルに起こっていることはただ事ではない。開幕後、6戦消化時点で唯一のホーム無得点チームであり、13失点は20チーム中ワースト。最下位チェゼーナから勝ち点差わずか2のブービー集団にある。開幕6戦4敗とは、1929年に全国統一リーグとしてのセリエAが発足して以来、名門インテルが初めて直面するあるまじき異常事態なのだ。

【次ページ】 今月末のホーム2連戦はインテルの今後を占う山場だ。

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