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“修理屋”ラニエリでもお手上げ!?
インテルが直面する未曾有の危機。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2011/10/22 08:01

“修理屋”ラニエリでもお手上げ!?インテルが直面する未曾有の危機。<Number Web> photograph by AFLO

ユベントスやローマなどの立て直しを図ってきた実績を買われたクラウディオ・ラニエリ。10月29日のユベントス戦、11月2日のCLリール戦(ホーム)が序盤の山場となる

 欧州の頂へ達した堅固な壁が、ガラガラと音を立てて瓦解しつつある。

 開幕後、極端な低迷に陥ったインテルは指揮官交代という荒療治を施したが、チームの崩落は止まらない。降格圏内をさまよい、チャンピオンズリーグ戦線もまったく楽観視できない。インテルは、そのクラブ史上最悪といっていいほどの危機的状況にある。

「このチームの再建を任されるとは光栄だ。私はまだスクデットが獲れると信じている。ここにいる選手たちは、2年前にすべてを勝ちとっているんだ。まずはチーム状態を正常なところへ戻すことから始めたい」

 9月23日の就任会見で、新監督ラニエリの顔には朗らかな笑みすら浮かんでいた。現地メディアから頂戴した“アッジュスタトーレ(修理屋)”という名も、最近の経歴を見れば納得できる。

 4年前、2部から昇格したばかりのユベントスをセリエA仕様に仕立て直し、CL出場へ導いた。2009-2010シーズンには、開幕後に突如辞任したスパレッティ(現ゼニト監督)の後を継いでローマを率い、セリエAとコッパ・イタリアでモウリーニョのインテルをあと一歩まで追いつめた。バレンシアやチェルシーを率いた豊富な国際経験もある。

 ビッグクラブ初挑戦だった前監督ガスペリーニが昇格組ノバーラ相手に屈辱的敗戦を喫した翌々日、ラニエリはモラッティ会長に同伴し、契約書付きのビジネスブレックファストを堪能していた。

「ラニエリは最高の監督」と長友は全幅の信頼を寄せる。

 就任以来、選手たちと対話を重ねたラニエリは具体的な挽回策として、4バックへの回帰と2トップを軸にしたスナイデル中心の攻撃プランを挙げた。年俸総額1億4500万ユーロを誇るスター軍団が本気を出しさえすれば、上位復帰はさほど難しくない。誰でもそう考える。

 直前にスナイデルが左太もも内転筋の肉離れに見舞われたが、采配初戦のボローニャ戦で3ゴールを挙げ幸先よく快勝すると、続くCSKA戦でもリードを追いつかれる苦しい展開ながらしぶとく勝ちを収めた。パッツィーニの2点目を生んだのは、右サイドから切り込んだ長友の見事なCL初アシストだった。

「ラニエリは最高の監督のひとりだと思う。彼がやろうとしているサッカーは好きだし、チーム全体でいいプレーができた。チーム状態はどんどん良くなっている」

 今夏の右肩脱臼の後、長友はリハビリに耐えて実戦復帰を果たした。右サイドに君臨するマイコンが右ひざ手術に踏み切ったことで、左右の攻守をこなせる長友のマルチユースぶりがあらためて重要視された。3-4-3の独自路線にこだわったガスペリーニ体制下でチーム全体の戦術理解が進まず成績も低迷するなか、サイドハーフとしての起用に応えるべく奮闘した。

【次ページ】 故障者が続出する不運に“修理屋”は逆上で退場処分も。

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