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MLBポストシーズン分析とCSの欠点。
中日とソフトバンクは大丈夫か? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2011/10/16 06:00

MLBポストシーズン分析とCSの欠点。中日とソフトバンクは大丈夫か?<Number Web> photograph by Getty Images

ナショナル・リーグ地区シリーズ第5戦。ワイルドカードで進出していたカージナルスが1-0でフィリーズに勝利し地区優勝を決めた。先発はフィリーズがハラデー、カージナルスはカーペンターだった。完封勝利が決まった瞬間、咆哮するカーペンターの下に集まったナインたち

ナショナル・リーグで起こった番狂わせ!!

 ナショナル・リーグはワイルドカード進出争いでブレーブスを大逆転したカージナルスが、その勢いのままフィリーズをディビジョンシリーズで破り、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズへ駒を進めた。

 番狂わせと言ってよかったが、第5戦のカーペンターの投球は、ここ十数年のポストシーズンのなかでも最高の部類に入る投球内容だった。投手陣は特に、9月の調子が重要なのである。

 ブリュワーズとダイヤモンドバックスの戦いは、ブリュワーズ15勝、ダイヤモンドバックスが16勝と9月に入ってからはほぼ互角の数字だったが、ホーム・フィールド・アドバンテージを持つブリュワーズがダイヤモンドバックスを押し切った印象だ。

 こうして今年のトレンドを見てくると、9月から全力で走り、その勢いのまま突っ走る――。ポストシーズンに入ってからも日程がどんどん進んでいくメジャーリーグでは“流れ”、英語で言うところの「モメンタム」が大切なのだ。

「モメンタム」重視の発想をNPBに当てはめてみると……。

 さて、この発想を日本の球界に当てはめてみよう。クライマックスシリーズ進出に可能性を残す球団の、10月の成績はというと……(10月13日終了時点)。

●10月の勝敗表
セ・リーグ   パ・リーグ
中日 10勝1敗1分け   ソフトバンク 8勝
ヤクルト 3勝9敗   日本ハム 4勝5敗2分け
巨人 5勝4敗2分け   オリックス 2勝7敗1分け
阪神 7勝5敗   西武 5勝5敗
 

 両リーグとも「1強」状態である。中日、ソフトバンクが圧倒的な強さを見せており、この流れを重視するならば両軍による日本シリーズ実現の可能性が高い。

 しかし、アメリカと同じ考え方が通じないのが日本のポストシーズンだ。

【次ページ】 日本とアメリカのポストシーズンの大きな違いとは?

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