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フィンケSDの現場介入で火種勃発。
ケルンが抱える内外の問題とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/09/14 10:30
今年の2月から2年半の契約でケルンのスポーツディレクターに就任したフォルカー・フィンケ
キャプテンマークを剥奪されたポドルスキの心中は……。
さらに、今季開幕前には、フィンケSDとソルバッケン監督との間で、どの選手をキャプテンにするのかの“話し合い”の場が数回にわたり設けられた。当然のようにポドルスキがキャプテンを続けると見られていたのだが……。
この間、ポドルスキはメディアを通じて訴えていた。
「キャプテンマークはボクのプライドだ!」
しかし、キャプテンマークを与えられたのはブラジル人センターバックのジェロメウだった。この決定に対して、ポドルスキは「ノーコメントで」と語るだけだった。この決定を面白く思っていないのは、明らかだ。
ケルンの象徴を冷遇するフィンケにはファンも不信感を。
ポドルスキはケルン育ちで「ケルンの王子」とも呼ばれる。ファンの人気も絶大だ。2009-2010シーズンにバイエルン・ミュンヘンからケルンに舞い戻ることになったのだが、ケルンはその際の移籍金を払うのに難航した。
そこで、クラブのホームページでポドルスキの写真をダウンロード販売することにした。売り上げを、ポドルスキ獲得の資金に充てるためだ。
ケルンの熱烈サポーターとして知られるF1レーサーのミハエル・シューマッハーは、およそ10万円分の写真を購入している。
選手に厚い信頼を寄せるサポーターを持つのがケルンであり、そのケルンの象徴がポドルスキなのだ。ファンもまた、フィンケSDには不信感を募らせている。
そんな中、トルコの名門ガラタサライからポドルスキ獲得のオファーが届いたのだから、ドイツメディアはこの話に食いついた。結局、ドイツメディアを賑わせたすえ、この夏はケルンに残留することが決まったのだが、今後はどうなるかわからない。火種はくすぶったままである。
結局のところ、フィンケSDへの不信感を抱いている以上、彼が連れてきたソルバッケン監督を好意的に受けいれるのは難しい。
ピッチ外の問題とピッチの内の問題とが、複雑に絡みあう。負のスパイラルともいう状況を、いかにしてケルンは乗り越えていくのだろうか。