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フィンケSDの現場介入で火種勃発。
ケルンが抱える内外の問題とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/09/14 10:30
今年の2月から2年半の契約でケルンのスポーツディレクターに就任したフォルカー・フィンケ
フィンケSDはソルバッケン監督解任の噂の火消しに躍起。
ちょっとしたハプニングもあった。
スポーツディレクター(SD)のフィンケに、監督の母国ノルウェーから来た記者たちがソルバッケンの去就について詰問したのだ。そもそも、ソルバッケンは来年の1月からノルウェー代表監督就任が内定していたのだが、このノルウェー人指揮官に目をつけたフィンケSDが交渉のすえに招き入れたという経緯がある。ソルバッケンが早々に解任されれば、来年1月にノルウェー代表監督に就任する話が再浮上してもおかしくない。しかし、フィンケはノルウェーから来た記者たちの予想を一蹴した。
「彼が早々にノルウェーに帰ることはない。数試合だけで判断するわけがないし、ソルバッケンとは2年間にわたり共に仕事をしていく」
前監督を解任して以来、首脳陣と選手の信頼関係に亀裂が。
1つ目の問題が、ピッチ上での問題だとすれば、2つ目の問題はピッチの外の問題。そして、この2つ目の問題は、根が深い。フィンケSDを始めとした首脳陣に、選手たちが不信感を抱いているのだ。
昨季途中にクラブのU-23チームの監督から昇格したシェーファー前監督が、ケルンの過去20年の中で最高のペースで勝ち点を積み上げていったのは以前にもこのコラムでお伝えしたとおり。ポドルスキを始め、多くの選手を下部組織時代に指導していたこともあり、選手たちからの信頼は厚かった。
ウインターブレイク中には、シェーファー監督の判断により、ポドルスキをキャプテンに任命した。ポドルスキが信頼に応え、後半戦16試合に出場して9ゴールと大暴れしたのは、記憶に新しい。
しかし、昨季終盤に亀裂が生じた。アウェイゲームで成績を残せないこと理由に、フィンケSDが現場に口を挟むようになったのだ。現場レベルでの最高責任者は監督であるはずだが、フィンケSDは我慢できずに、シェーファー監督の相手チームに関する分析・スカウティングの方法にまで事細かに口をだした。度を過ぎた現場介入に嫌気のさしたシェーファー監督はリーグ戦3試合を残し、トップチームの監督を辞任した。
そもそも、フィンケSDが就任したのは今年の2月のこと。ポドルスキを始めとした多くの選手たちが下部組織時代から信頼関係を築き上げてきた監督と、新たにクラブにやってきたSDのどちらに肩入れするかは明らかだ。