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なでしこに中国流アウェーの洗礼!
五輪アジア最終予選、現地プレビュー。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byKYODO
posted2011/08/30 11:35
済南の空港に降りた途端に、中国メディアと現地の野次馬がなでしこたちに殺到! 取材許可エリアも無視する中国メディアに、空港は大混乱となった
爆発的スピードを誇る敵FWと、気になる審判の噂とは?
例えばタイのFW、ピトサマイ・ソーンサイ。昨年11月のアジア大会で日本と対戦した時には、日本の左サイドをカウンターで脅かした。
オーストラリアは看板FWのリサ・デバンナが世界トップクラスのスピードを持っているし、W杯をけがで欠場し今大会で代表復帰したベテランのサラ・ウォルシュも、爆発的な瞬発力で一気に相手を置き去りにできるプレーヤーだ。また、本来FWでありながらW杯では右DFに起用され、効果的なオーバーラップを見せた16歳のケイトリン・フォードは、ドイツ大会のベスト・ヤングプレーヤー賞に輝いている。
北朝鮮はドーピング問題で5人の主力選手にFIFAから出場停止処分が下ったが、16歳のキム・スギョンは健在だ。右MFの彼女は、切れ味鋭いドリブルが身上。W杯初戦のアメリカ戦では百戦錬磨の相手DFを完全に翻弄し、再三決定機を作り出していた。
最後に、未確認だが気になる情報をひとつ。ある出場国(日本ではない)のスタッフによれば、今大会の審判は全員UEFAから招集されているという噂があるのだという。北朝鮮以外の出場国には、それぞれ国際的に評価されているレフェリーがいる。しかし総当りのリーグ戦のため、大会終盤に近づくにつれ自国を間接的に有利にするためのジャッジ云々と、詮索をされかねない。そうした余計なトラブルを避けるため、FIFA(この五輪予選はAFCしきりではないのだ)が前もって手を打ったということはあり得るだろう。
実際、'06年の女子アジア杯準決勝でUEFAからの審判が笛を吹いた前例もある。ただこの時は中国vs.北朝鮮戦での微妙な笛を巡り、激高した北朝鮮選手が試合後にイタリア人主審を追いまわして蹴り上げるという前代未聞の事件が起こったのだが……波瀾の大会にならないよう、祈るばかりだ。
ロンドン五輪アジア最終予選の初戦は9月1日木曜日のタイ戦。その後、3日・韓国戦、5日・オーストラリア戦、8日・北朝鮮戦、11日・中国戦と、10日間ほどで5試合というサッカーとしては異常なスケジュールをこなすことになる。
降っても晴れても予断を許さない。そんな五輪アジア予選がいよいよ始まろうとしている。