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なでしこに中国流アウェーの洗礼!
五輪アジア最終予選、現地プレビュー。 

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河崎三行

河崎三行Sangyo Kawasaki

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photograph byKYODO

posted2011/08/30 11:35

なでしこに中国流アウェーの洗礼!五輪アジア最終予選、現地プレビュー。<Number Web> photograph by KYODO

済南の空港に降りた途端に、中国メディアと現地の野次馬がなでしこたちに殺到! 取材許可エリアも無視する中国メディアに、空港は大混乱となった

 ロンドン五輪女子アジア最終予選に臨むなでしこジャパンは8月28日に中国・済南に到着した。

 翌29日、直前調整を行うなでしこのために主催者側が用意していた練習場は、スタジアムに併設されているサブグラウンド。しかしこれがとんでもないシロモノだった。

 サッカーの試合やトレーニングが行われない時は、ゴルフの打ちっぱなし練習場としても使用されているのである。

 片方のゴール裏に2階建ての打席がしつらえられていて、反対側のゴール裏にはそれなりの高さのネットが設置されている。ただし、ゴルフ練習場として見た場合は中途半端な大きさだ。距離は最大でピッチの縦方向+周囲のトラック分しかないし、両タッチライン側や天井にまでネットが張り巡らされているわけでもないから、せいぜいショートアイアンを使ってのアプローチを打つぐらいしかできない。ということは、ほとんどの打球がピッチの芝の上に落ちるわけだ。

 官製のスポーツ複合施設内にあるサッカーグラウンドを打ちっぱなし練習場として使っていること自体が驚きだし、五輪出場をかけた大事な大会の練習場として、そうしたグラウンドを他国の代表チームに提供していることはさらに信じられない。

 芝の下の土が打球のせいでデコボコになっているかもしれないし、落ちたボールをすべて取り除けている保証はない。穴に足を取られ、あるいはまだ残っていたボールを踏んで足を痛めても何の不思議もないグラウンドなのだ。仮に徹底してボール除去を済ませていたとしても、選手としてはもしもの不安があって全力疾走を躊躇してしまうのではないか。

ゴルフの打ちっぱなし練習場に、無情に降り注ぐ雨、雨、雨……。

 男子代表が中東でアウェー戦を行う際など、練習会場に釘が落ちていた等の話をよく聞くが、ゴルフの打ちっぱなしとはまた意外な方向からの「アウェーの洗礼」である。

 だから練習開始前、ポールを立てたりコーンを置いたりといった準備と並行して、なでしこジャパンの男性スタッフは入念にピッチを確認していた。

 歩いた感触はどうか、芝深くにボールが隠れていないか。

 やがて佐々木監督が、ピッチの中からボールを1個つまみ上げた……。

 そしてやっと練習を開始しようかという段になって、小ぶりだった雨が突然激しくなり、やがて雷雨に変わった。そのままいくら待ってもやむ気配がなく、初日の現地練習は中止となったのだった。

 この先の済南周辺の天候を調べてみても、雨模様の日が続く予報になっている。するとどんな状況が予想されそうかという観点から、目前に迫った五輪予選をまず展望していきたい。

 一番恐いのは、日本の持ち味であるテクニックが無力化されることだ。

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