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サッカー・カルチャー誌。
~『11 フロインデ』の魅力~
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bySports Graphic Number
posted2011/08/28 08:00
『11 FREUNDE』 2011年8月号 5.5ユーロ
昨年、編集長は「年間最優秀ジャーナリスト賞」に。
写真だけではない。毎号のように選手や監督、フロントなどのロングインタビューが数本は掲載されている。こちらのページには、文字がびっしりと並んでいる。しかも、ありきたりの受け答えで埋まった退屈なインタビューではなく、鋭い質問をもとに話を深く掘り下げたものばかりだ。昨シーズン、ドルトムントが躍進を続けていた時期にはスポーツ・ディレクターのツォルク氏が、過去の失敗について赤裸々に告白していた。名インタビューだった。
面白いカットを載せて写真を楽しむページと、文字を詰めこんで文章を楽しむページが混在している。写真だけなら写真集でいいし、文字だけなら単行本でもいい。両方が雑多に入り乱れているから、雑誌としての魅力がある。
『11 フロインデ』は、2000年にフリーペーパーとして産声をあげた。かつてブンデスリーガに所属していたビーレフェルトのファンである記者とカメラマンが意気投合して、自費出版を細々と始めたのだ。その後、出版社の傘下に入るなど、じわじわと勢力を伸ばし、'05年に全国で売られる月刊誌になった。
近年は20代から40代の男性に人気を博している。売り上げも伸びており、コンスタントに12万部以上を発行。『シュピーゲル』誌は「ドイツで手に入る最高のファンマガジン」と評し、『ターゲス・ツァイトゥンク』紙は「新たなキッカー誌になる」と称したほどだ。
そして、昨年には編集長が『メディア・マガジン』誌による「年間最優秀ジャーナリスト賞」に選ばれた。
今月号のぶっ飛んだ表紙は、彼らの勢いを象徴しているのだ。