プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミアリーグがついに開幕!!
監督を軸に全チーム一挙大予測。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2011/08/12 08:00
アーセナルの二本の柱、ベンゲルとセスク。今年の夏も大型強化が行われる可能性は低く、ベンゲルは監督として自らの手腕だけが頼みの状況は続く
タイトルレースからサバイバルレースまで、今季も手に汗握る展開が予想されるプレミアリーグ。観る側にとっては大歓迎だが、「結果商売」の責任者として、プレッシャーと背中合わせの監督は辛い。トップ6候補の中でも、来季の続投が確実視される監督は2名しかいない。マンチェスターUのアレックス・ファーガソンと、リバプールのケニー・ダルグリッシュだ。
マンUが「余裕で優勝するだろう」というロイ・キーンの予想には、元主将としての肩入れがあるとしても、就任26年目のファーガソン率いる昨季王者が、優勝候補の筆頭であることは間違いない。
アシュリー・ヤングは、昨季アストンビラの年間MVPだった新戦力。26歳のウィンガーが、よりハイレベルな新環境で一皮剥ける可能性は高い。新GKのダビド・デ・ヘアは、開幕前週のコミュニティー・シールド(3-2でマンチェスターCに勝利)で2エラー2セーブだったが、デビュー戦でのミスが敗戦につながらなかったことで、20歳の守護神の精神衛生面に問題はない。
何より、このプレミア前哨戦では、ウェイン・ルーニーの仕上がりの良さが目に付いた。2得点をあげたナニの1ゴール目に至るバックヒールは、心技体の全てが好調な証。今季のエースは、前半戦で不振、故障、移籍騒動と続いた昨季とは違う。ウェスレイ・スナイデルの加入が噂に終わっても、マンUには昨季以上の内容が期待できる。
ジェラード欠場の開幕1カ月をどう乗り切るかがリバプールの鍵。
ダルグリッシュは、元々ファンから崇拝されるクラブの英雄だが、指揮官が「リバプールをあるべき姿に戻すために必要だった」と説明する積極補強の実現は、経営陣の信頼も厚い事実を物語る。
怪我が癒えた大砲アンディ・キャロル、個人技のあるルイス・スアレス、安定したクロスを放つステュワート・ダウニング、パスのレンジが広いチャーリー・アダムと、この冬と夏に即戦力を加えたチームは、1995年にCFのアラン・シアラーに四方八方からチャンスを供給してプレミアを制した、ダルグリッシュ監督時代のブラックバーンを連想させる。
昨季末からのスティーブン・ジェラード欠場が続く開幕1カ月強を無難に乗り切れば、3年ぶりのCL出場権獲得が現実味を帯びる。