自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
暑い夏には、都心から逃げよう!
セレブ世田谷、緑の公園巡り60km。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2011/07/23 08:00
茅葺き屋根で風情がある徳富蘆花の旧宅。買い取った家で、「僕の家は出来てまだ十年位比較的新しいものだが、普請はお話にならぬ」と書き残しているが、この地が気に入り、明治40年から没するまでの20年間を過ごした
いや、暑い。
天気予報がまったく当たらんな。
そもそも今年は長梅雨で、暑さにしても去年よりはかなりマシになるはずだったではないか。
ところが、蓋を開けてみると、記録的に早い梅雨明けとなり、梅雨明け直後から、記録的な猛暑となった。体感としては連日、日中気温が体温を超えている(首都圏)。
こんな中、自転車で都市圏をめぐろうというのは、まったくもって無謀な話であって、特に都心。中でも銀座、新橋、そして、私の勤め先のある赤坂だ。
世界的な(1)地球温暖化現象に加え、首都圏に顕著な(2)ヒートアイランド現象がある。さらに、東京湾と、街の間が高層ビルで阻まれ、風が通らないという(3)東京ウォール現象までがあって、もう赤坂周辺の暑さは常軌を逸している。米国大使館(赤坂1丁目)の職員たちも「アンビリーバボー」「イッツ・ヘル」などと繰り返しながら仕事をしているという。
猛暑の都心から世田谷に逃げろ?
オフィスから出た瞬間に身体にまとわりつく熱気、熱風、直射日光、照り返し。もはや息を吸うのも苦しい。熱気が肺に入り込んで、内部から体温が上がるかのようなのだ。
というわけで、逃げよう。都心から。
不意に思い浮かんだのが東京23区の西にでんと構えている世田谷区のことだった。
数々の閑静な住宅地、公園、森でできた、人口80万人にもおよぶ「日本最大のベッドタウン」。
というのか、地方出身の人間にとっては(私は宮崎出身)芸能人やら社長さんやらばかりが住んでいるという、噂の高級住宅地、あの「セタガヤク」である。
さぞかし美しくも涼しげな町並みが待っていることじゃろうて。
世田谷区一周、公園巡りの旅へ。
馬鹿馬鹿しいほど暑い赤坂を出て、青山通りを一路西へ。まず目指すべきは、駒沢オリンピック公園である。
駒沢公園と言えば、私の脳裏に浮かぶのは、緑の森を背景にした池があって、噴水があって、その周りで幼児が水遊びをし、上品で若いママたちがにこやかにそれを見守っている、という図柄だ。
ステレオタイプと言わば言え。コンサバなプチブル(昭和な言い方)たちの街。それでこそ世田谷区ではないか。
赤坂から、乃木坂、六本木を経て、渋谷。いやまあ暑苦しい街が並ぶな。
ほんの少しだけ都心を逃れた、という感じがしてくるのが、ようやく池尻周辺になってからだ。