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アタッカー全盛の今だからこそ!!
“現代的パッサー”遠藤保仁の再評価。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2011/07/15 10:30
運動量が豊富で、攻守において貢献度が高く、Jリーグベストイレブンに2003年から8年連続で選ばれ続けている
アタッカー全盛の中で際立つ、試合を作る遠藤の非凡さ。
だが、そういう飛び道具になれる選手も必要だが、本当に強いチームを作るにはゲームを演出し、タクトを振り、全体の流れを操る能力を持った選手が必要だ。
残念ながらロンドン五輪を目指す日本U-22代表の現メンバーには、一発のロングパスを出したり、走り回って相手を潰せるタイプの選手はいても、遠藤のように試合を操れる選手が見当たらない。
チームの頭脳になるパッサーより、駒になるアタッカーの方がヨーロッパに移籍しやすいため、最近は後者にスポットライトが当たりやすい傾向がある。だが、みんながサイドの選手を目指し始めたら、日本のサッカーは単調なものになってしまうだろう。実際、フランスは育成でフィジカル能力を重視しすぎたがために、中央でゲームを作れる選手が激減してしまった。
たくさんの若手がヨーロッパに移籍し始めた今こそ、あらためて遠藤の価値を再認識すべきときではないだろうか。