9試合で2度の退場処分。守備で苦闘する小野!?

　試合後には淡々と話をする小野が、一度だけ語気を強めて語ったことがあった。11月27日、1FCケルンとの試合で自陣のペナルティエリアで相手選手から小野がボールを奪った際、相手選手が転倒する場面があった。「あの場面はPKをとられてもおかしくないのではないか」と解説者が語っていたと、伝えられたときのことだ。

「いや、（ボールを）とる自信があったので、そういうネガティブなことは何も考えなかったです。あれはサッカー人生をかけてもいいくらいに余裕でした。まぁ、あれでPKだったらサッカーやめていますよ」

　今季の小野は、9試合に出場して2度の退場処分を受けている。いずれも、2度の警告を受けてのものである。周囲の人間も、小野自身も、審判の判定について敏感になっていた。

「相手に当たったらカードが出ちゃうくらい、ちょっと目をつけられているかもしれませんし……」

　今季2度目の退場を命じられたアイントラハト・フランクフルト戦のあとに、小野はそんな風にもらしていた。他の選手にはないテクニックを持ち、天才と騒がれた小野が、そんなディフェンスの面で頭を悩ませる日が来ることを、一体どれくらいの人が想像していただろうか。

　1月9日、清水エスパルスへの移籍が正式に発表された。今季のブンデスリーガの前半戦で、小野は充実した時間を過ごした。2010年、2年ぶりに復帰するＪリーグでは、以前とは一味違った小野を見ることが出来るかもしれない。