岡田ジャパン試合レビューBACK NUMBER
【W杯アジア最終予選/vs.豪州】
この敗戦を糧にするためにも、
Jリーグでの意識改革が必要。
text by
木ノ原句望Kumi Kinohara
photograph byTamon Matsuzono
posted2009/06/20 06:01
アジア最終予選で無失点だったオーストラリアのゴールをこじ開けた岡田ジャパンだが、川口能活同様ケーヒルから2点奪われた楢崎正剛
ケーヒルの決定力に完敗。W杯本大会のレベルを痛感した。
日本同様にオーストラリアも主力数人を休ませる編成だったが、それでも、ここぞという場面で畳み掛ける圧力や、ケーヒルに代表される決定力、また、相手がプレスをかけようとすると、ダイレクトやワンタッチで素早くパスをつないでかわす技術と精度は健在。いわば飛車角落ち同士の対戦でも、そのあたりの違いはしっかり出ていた。
アジア予選とワールドカップ本大会のレベルの差に、どう対応するのか。毎回苦労させられる点だが、オーストラリアの1.5軍クラスとの試合で苦戦しているようでは、世界は遠い。
岡田武史監督は、自分たちの試合ができないときの対策を聞かれて、「メンバーの組み合せ次第で十分ポゼッションできる」と答え、この試合で久しぶりに出場機会を得た選手らについて、「キーになる選手がいれば十分通用する」とコメントした。
確かに、日本代表というチームが一定のレベルのプレーをするために欠かせない選手がいることは否めない。しかし、個々の選手の技量、特にプレーの精度と判断のスピードに磨きをかけなければ、全体のレベルアップは実現しない。ポイントは、イングランドのプレミアリーグやドイツのブンデスリーガほどの厳しさがないJリーグで、どこまで意識して取り組めるかだ。
本大会まであと1年。この敗戦をいいきっかけにできるか?
日本は最終予選を4勝3分け1敗(勝ち点15)で終了した。この日の敗戦は残念だが、来年6月11日に開幕する本大会まで何にどう取り組むべきかを考えるには、いいきっかけになったかもしれない。4年に1回の世界最高峰の舞台で、日本のプレーをより楽しんで観ることができるように、残された時間をフルに生かしてほしい。