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「運命的な試合」と「左腕」に注目!<'09年夏の甲子園プレビュー>
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/08/06 13:20
夏の甲子園の組み合わせが決まった。
組み合わせには時にドラマがある。運命的なものが作用し、トーナメントの一発勝負の醍醐味とも言える対決が1回戦から実現したりするものだ。今大会でいえば、第3日第4試合に行われる花巻東(岩手)vs.長崎日大(長崎)がその「運命的な試合」に当たる。
花巻東は言わずとしれた今春選抜の準優勝校である。この花巻東を破って優勝を遂げたのが清峰で、その清峰を県予選で倒したのが長崎日大なのである。花巻東は今大会No.1投手・菊池雄星を中心に、春の悔しさを力にしてチーム力を高めてきたが、その初戦の相手が長崎代表というのは、いかにも、である。
花巻東・佐々木洋監督は「清峰を破ってこられたチームと対戦になるとは、こんなことは考えていなかったですね。でも、逆にウチにとっては、もう一度、チャレンジャーとして戦える」と、気持ちを前に向けている。
菊池雄星の他にも才能溢れる左腕投手が目白押し!
もっとも、今大会の注目は花巻東やエースの菊池だけではない。彼らが注目の中心であることに間違いはないが、彼ら以外にも注目すべきチームが多い。特に今年は菊池と同じ左腕投手が各地区大会で活躍し、名乗りを上げてきた。
名前を挙げていくと、島袋洋奨(興南/沖縄)、岡田俊哉(智弁和歌山/和歌山)、山田修義(敦賀気比/福井)たちである。
興南の島袋はこの春の選抜1回戦で1試合19奪三振という圧巻のピッチングを見せた。延長戦の末に敗れ悔しい春となったが、そのことが興南を、島袋を、成長させてきたのはいうまでもない。興南・我喜屋優監督は島袋を評し、「周りから注目されたりすることで気持ちがしっかりした。下手な行動はできないと自分を律するような選手です。嫌なことも率先してやってきたから、そういうのがピンチでも動じない強さになっている」と話している。
また、その興南の初戦の相手が九州の強豪・明豊(大分)である。明豊は興南とともに、春の選抜に出場したチームで、花巻東に2回戦で敗れた。この春の悔しさを持ってこの大会に挑んでいる。遊撃手兼最速149km右腕の今宮健太は今大会注目選手の一人で、他にも河野凌太ら超高校級の選手をそろえるタレント集団だ。
島袋の真価を問いながら、1回戦屈指のこの贅沢なカードは注目である。