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韓国サッカー界を襲う八百長騒動。
不正の裏にある3つの背景とは?
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJang-Hun Kim/AFLO
posted2011/06/04 08:00
2006年にはガンバ大阪とも戦いACLで優勝を果たした元Kリーガーのチョン・ジョングァン(当時、全北現代)が、遺書で八百長を認めて自殺。他にも多くの現役選手へと疑惑が拡大中である
大手メディアも薄々知りながら、記事にできずにいた。
今回の事件発覚後、『朝鮮日報』が「不正が行われていることを知りながら、誰も告発しなかった」と報じた。
実は在ソウルの大手メディアも、噂は掴んでいながら確証がないため記事化できずにいたのだ。
事件発覚を受け、Kリーグ連盟側は5月31日から全16クラブの関係者を集めワークショップを開催。6月1日から13日までを自己申告期間と定めるなど、事件の全容解明と不正の根絶を目指す姿勢を明らかにした。
しかし、関係者の予想以上に“闇”は深い。
3日時点で逮捕、検察への召還など容疑をかけられているKリーガーは約10人にのぼった。逮捕者の中には元大分トリニータ所属で、フル代表歴もあるキム・ドンヒョンの名前もある。
不正のあったゲームは当初、関心度の低いカップ戦のみと考えられていたが、2010年シーズンのリーグ戦でも行われていたことが判明。検察側は「合わせて100件ほどの不正があったと思われる」と発表した。大学サッカーの試合も不正な賭けの対象になっていたと報じるメディアまである。
その他にも、闇の賭けサイトの存在発覚、7人に容疑がかけられた大田(テジョン)の監督以下スタッフの総辞職など事態は深刻化するばかりだ。
ついに自殺者を出してしまい、代表チームの人気まで失墜。
そんななか、国内に最大の衝撃を与えたのは30日の出来事だった。
過去にACLでJリーグ勢と対戦したこともある元Kリーガーのチョン・ジョングァンの自殺事件が起きてしまったのだ。遺書には「恥ずかしい事件を起こした」と記されていた。
事件発覚後、Kリーグでの極端な観客動員減は見られない。しかし、現場の混乱は相当なものだ。リーグでトップを走る全北現代(チョンブク・ヒョンデ)のチェ・ガンヒ監督は「味方選手への不信が生まれてしまうのは致命的」と話している。