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韓国サッカー界を襲う八百長騒動。
不正の裏にある3つの背景とは? 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byJang-Hun Kim/AFLO

posted2011/06/04 08:00

韓国サッカー界を襲う八百長騒動。不正の裏にある3つの背景とは?<Number Web> photograph by Jang-Hun Kim/AFLO

2006年にはガンバ大阪とも戦いACLで優勝を果たした元Kリーガーのチョン・ジョングァン(当時、全北現代)が、遺書で八百長を認めて自殺。他にも多くの現役選手へと疑惑が拡大中である

韓国サッカー界がこれまで放置してきた影の部分。

 不正が起きた背景には、韓国サッカー界、ひいては韓国社会全体の暗い問題が影を落としている。

(1)選手引退後のセカンドキャリアの問題

 容疑者の中には、元選手のブローカーも複数存在する。彼らは、過去に韓国サッカー界が構築していた選手育成システムの強い影響を受けている。小学校の時点でサッカー(スポーツ)の道を選択すると、その後は平日の授業時間を利用して公式戦やトレーニングを続けた。この生活を大学卒業時まで続けるため、ほとんど普通教育を受けないまま成人してしまう。すると、選手生活を離れた後にそこから生活を続ける手段を失うことが多い。パク・チソンも自伝で「韓国では若くして選手の道を退くと、闇の世界と繋がってしまう危険性がある」と警鐘を鳴らしている。事態の改善のため、大韓協会と政府は'08年より、「勉強するサッカー選手」の育成をめざす方針を掲げた矢先の事態だった。

(2)厳しい上下関係

 儒教の影響が強い韓国社会。ブローカーが高校・大学の同門の先輩だった場合、後輩に当たる現役選手は不正への誘いを断れないケースが多い。

(3)年俸格差

 Kリーグは'06年より、新人選手の最高年俸を一律5000万ウォン(約380万円)に設定した。低年俸選手は生活が苦しく、誘惑を断れない。

「選手は八百長を罪だとはっきり認識できずにいる」

 '97年フランスワールドカップアジア最終予選で日本とも対戦したベテランGKキム・ビョンジ(慶南)は、選手の心理をこう説明している。

「自分がもし、不正の誘いを受けたのなら、それに乗ってしまっていただろう。試合に負けるように仕組んだはずだ。選手は、八百長を罪だとはっきりと認識できずにいる。被害者が不特定多数だからだ。誰かを殴ったのなら、被害者がはっきりと分かる。しかし八百長事件はそうではない」

 8月10日に行われる日本との親善試合は、韓国サッカー界にとって重要な一戦になる。

 ビッグマッチである日本戦は、信頼回復の重要な機会だからだ。韓国国内では冷ややかな視線を浴びせられるだろうが、その分、かなりの意気込みで臨んでくるはずだ。

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