F1ピットストップBACK NUMBER
同じ賭けに勝ったベッテルと可夢偉。
モナコの女神に愛された2人を検証。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2011/06/01 10:30
マシンを止め、モナコGP初勝利の喜びをシャンパンシャワーで爆発させるベッテル。未来のモナコ・マイスターの誕生か?
1ストップ作戦でポイント獲得は可夢偉とベッテルだけ。
5位という成績は可夢偉にとってF1での自己最高位であり、日本人ドライバーとしてもモナコGPでのベストリザルト。しかも、第2戦マレーシアGPから5戦連続での入賞は、'04年の佐藤琢磨の4戦連続を更新する新記録。ドライバーズポイントでも皇帝シューマッハを抜いて、トップ10に進出した。
レース後の可夢偉は「運が良かっただけ」と謙遜しきりだったが、ドライバーズサーキットと言われるモナコで1ストップ作戦でポイントを獲得できたのは優勝したベッテルと可夢偉の2人だけだった。
この日、ザウバーはチームメートのセルジオが予選の事故で負傷し、レースを欠場。重苦しい雰囲気の中で迎えた華やかな伝統の一戦だった。
「そんな空気を吹き飛ばすことができて良かった」と言いながら自らのモーターホームに帰ってきた可夢偉を、チームスタッフは笑顔で出迎えていた。