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F1シーズンオフにメルセデスを巡る
“スターウォーズ”が勃発! 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2009/11/29 08:00

F1シーズンオフにメルセデスを巡る“スターウォーズ”が勃発!<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

ダイムラーAG(メルセデスチームの親会社)はそもそもマクラーレンの株式の40%を保有していたが、ブラウンGPの株式76.1%を取得したことで、2011年までにその全てをマクラーレンに売却することになった

“エンジン戦争”から“ドライバー戦争”へ突入した両者。

 この両者リリース同時発表の2日後、マクラーレンから「J・バトンとの複数年契約にサインをした」というリリースが出る。

 来季マクラーレンはハミルトン+バトンのダブル・チャンピオンということになったわけだ。メルセデスGPのドライバー発表はこの時点ではまだなかったのだが、昨年と今年の年間チャンピオンをサテライトチームが囲っているというのでは、どっちが正規軍か分からないラインナップともいえる。

 おそらくバトンとブラウンGPとの間には契約条件以外の感情的もつれや種々の駆け引きがあったのだろう。

 年間チャンピオンとなり一気に跳ね上がったバトンの高額な契約金も、ブラウンGPがメルセデス直属となるなら余裕でクリアできたはず。なのにマクラーレンに移籍したということは……ロス・ブラウンが引き止めなかったこと明白。

 マクラーレンにしてみれば、ふたつのシートに年間チャンピオンを乗せることに成功したことで、メルセデス・ベンツに強烈なシッペ返しをしてやったということになる。

2人のイギリス人王者を抱えて……うまく行くのか。

 それにしてもマクラーレンも思い切ったドライバー人事をやってのけたものだ。2人チャンピオンの例は1980年代半ばのN・ラウダ+A・プロスト、80年代末のA・セナ+A・プロストがあるが、それはまずチャンピオンがいてそこに加わった新人がチャンピオンになるというパターンで、来季はそれら過去の事例とは異なる。よくハミルトンがバトンを受け入れたものだとも思ったが、おそらく“バトン与し易し”との判断でも働いたのだろう。いずれにせよ先例のない2人チャンピオン、そして2人イギリス人がうまく機能するのかどうか、これは見ものである。

ではメルセデスGPはニコ以外に誰を乗せる?

 さてメルセデスGPの方だが、ニコ・ロズベルグと組むのは誰か?

 今一番話題になっているのはミハエル・シューマッハーだが、彼は今年マッサの代役としてフェラーリに乗ることを肉体上の理由で断わった経緯もあり、スンナリとはいかないご様子。ということで順当にシューマッハーに蹴られた場合に備え、次も考えてあるのは当然だ。では、誰が有力とされているのかというと……。

【次ページ】 マクラーレンはオール・ジャーマン体制となる予定。

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ニック・ハイドフェルド
ジェンソン・バトン
ミハエル・シューマッハー
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