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ルクレール&フェラーリがモンツァ制覇でティフォシ歓喜! マクラーレン1−2の目論見を阻んだモンツァの魔物の悪戯とは
posted2024/09/06 11:01
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
モンツァの森には魔物が棲んでいると言われる。そして、その魔物は数年に一度、ちょっとした悪戯をレースに仕掛ける。
1988年。開幕から11連勝と圧倒的な強さを披露してきたマクラーレンが、シーズン唯一の敗戦を喫したのがモンツァでの一戦だった。ポールポジションからスタートしたマクラーレンのアイルトン・セナがレース終盤までリードしていたが、残り2周で周回遅れのジャン=ルイ・シュレッサー(ウィリアムズ)をかわした直後に、シュレッサーがブレーキをロックさせ、コントロールを失ってセナと接触。セナのマシンは大きく跳ね上がった後、地面に叩きつけられリタイア。セナの同僚のアラン・プロストはすでにエンジントラブルでリタイアしており、全滅したマクラーレンに代わって1-2フィニッシュを飾ったのが地元のフェラーリだった。
フェラーリにとってこのイタリアGPは、前月に逝去した創始者エンツォ・フェラーリの弔い合戦であった。ドライバーはもちろん全スタッフが喪章をつけて戦い、天国のエンツォに捧げる涙の勝利となった。
1999年はミカ・ハッキネン(マクラーレン)に魔物が襲いかかった。2位以下を大きく引き離して独走態勢を築いていたレース後半に、ストレートエンドのブレーキングでスピン。グラベルにはまってリタイアとなったハッキネンはピットに戻る途中の森の中で膝をついて泣き崩れ、モンツァに棲む魔物の怖さを改めて感じさせた。
魔物が演出した歴史的勝利
魔物が仕掛けた悪戯が、歴史的な勝利を演出したこともある。
2008年のイタリアGPは雨に祟られた。高速サーキットのモンツァでの雨はミスを誘発させやすく、予選では上位チームのドライバーが次々に失敗。ポールポジションを獲得したのは“もうひとつのイタリアチーム”たるトロロッソのセバスチャン・ベッテルだった。トロロッソはF1参戦3年目で、ベッテルもフル参戦1年目。両者にとって初のポールポジションからスタートした日曜日のレースも雨となり、視界の悪さを利したベッテルはミスのない走りでポール・トゥ・ウィンを達成。チームと自身にとって記念すべき初勝利となった。