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F1シーズンオフにメルセデスを巡る
“スターウォーズ”が勃発!
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2009/11/29 08:00
ダイムラーAG(メルセデスチームの親会社)はそもそもマクラーレンの株式の40%を保有していたが、ブラウンGPの株式76.1%を取得したことで、2011年までにその全てをマクラーレンに売却することになった
F1シーズンが終わってから、忙しくてできなかったことを猛烈な勢いで遂行中。
11月22日、富士スピードウェイで開かれたトヨタ・モータースポーツ・フェスティバルに行き、涙目でトヨタF1のファイナルラン(小林可夢偉と中嶋一貴のコンボイ!)を拝み、翌11月23日の勤労感謝の日は歌舞伎座で仮名手本忠臣蔵観劇して片岡仁左衛門演ずる大星由良之助に酔い痴れ、帰路、高円寺においてモウモウたる煙の中でホルモン焼きを食して呑んで爆睡し、二日酔いの目を擦りながら起きた24日早々……
「ニコ・ロズベルグがメルセデスGPと契約!」
というリリースが飛び込んできた。
F1業界ではちょうど今の期間、ストーブリーグが煙を噴き上げながらバク進中なのでありました。
メルセデスエンジンを巡って2チームが骨肉の争い。
今年のストーブリーグで最大のキーポイントは、チャンピオンチームとなったブラウンGPと、マクラーレンとの確執。
そもそも優勝を狙おうというチームが共にメルセデス・ベンツ製エンジンを搭載しているのだから問題が起こらないはずがない。
ストーブリーグが一気に動いたのは11月16日、メルセデス・ベンツとマクラーレンが同時にリリースを配信した時からだった。
メルセデス・ベンツは来季2010年から独自のチームを持つことを決定し、チャンピオン・チームのブラウンGPを買収。正式に「メルセデスGP」という名称にすると宣言。
いっぽうマクラーレンのリリースでは「メルセデス・ベンツとの長期戦略を再調整」のタイトルで「メルセデス・ベンツは2015年までマクラーレンにエンジンを供給“できる”」とのコメントを載せた。しかしその期限以前にマクラーレン側がメルセデス・エンジンを使わなくなる可能性も十分あるわけで……要は1995年から始まったマクラーレンとメルセデス・ベンツとの蜜月が終わり、来年からマクラーレンはメルセデス・ベンツ・エンジンを使うものの正規軍にあらず、メルセデスGPのサテライトチーム的存在になるのだよ、ということが両チームから発表されたわけだ。
マクラーレンはメルセデスと別れ自社開発エンジンを目指す!?
実はこのマクラーレン、自社エンジンを開発してメルセデス・ベンツと訣別するとの噂もあり、今回のリリース配布はその布石ではないか? とも言われている。近い将来マクラーレンが自社エンジンを開発するという噂が事実だとしても、まったくゼロから始められるわけはない。そこで開発母体となるのはBMWではないか? という話まで出ている。それはゆくりなくも、かつてマクラーレンがリリースした超絶のス-パーカー“マクラーレンF1・GTR”のパワーユニットが6リッターV12気筒のBMWエンジンだったことを思い起こさせるのだが……とにかくマクラーレンの総帥ロン・デニスにとってオール・マクラーレンは永年の夢だということだ。