欧州CL通信BACK NUMBER
バルサ4度目のCL制覇を陰で支えた、
プジョルとアビダルの見えない功績。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/05/30 12:30
プジョルから渡されたキャプテンマークを左腕に巻き、チームで最初にビッグイヤーを高々と掲げたアビダル(右)と、驚異的なパス成功率でゲームを支配したシャビ
「プジョルはこのチームが何たるかを示してくれた」
「プジョルはこのチームが何たるかを示してくれた。我々が決勝に勝ち進めたのは、左SBが不在となったレアル・マドリー戦で彼が助けてくれたからだ。今日は先発落ちを快く受け入れてくれたが、それは彼が偉大なキャプテンであることを証明している。さらに彼は、自分以上に苦しんだアビダルにトロフィーの受け取り役を譲った。私が監督をやっていて最も恵まれていると感じるのは、このような選手達と共に戦えることだ。選手に最も重要なのは人間としての質。勝つことも負けることもあるが、彼らは人間としての質を示してくれた。カルレスの行為を祝福したい。あの行為によって我々はまた強くなれる」
2ゴールに絡む決定的な役割を果たしたリオネル・メッシ。彼と共に3トップの揃い踏み弾を実現したペドロ・ロドリゲスとダビド・ビジャ。141本のパスを成功させた(ミスは僅か7本)司令塔シャビ・エルナンデス。彼と共に66%のボールポゼッションを保ったアンドレス・イニエスタとセルヒオ・ブスケッツ。ルーニー&チチャリートによる速攻を素早い挟みこみで潰し続けたジェラール・ピケとマスチェラーノ。鋭い飛び出しでことごとくDFライン裏への縦パスに先んじたビクトル・バルデス――。
これらの選手達と比べてピッチ上での貢献度は劣ったかもしれないが、アビダルの復活劇はチームメートに大いなる勇気を与え、プジョルの犠牲心は試合に出られないメンバーも含めたチーム全員の団結をもたらした。
最高のフットボールをもってヨーロッパの頂点に立ったこの決勝に際し、2人がもたらした目に見えぬ功績をここに記しておきたい。