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「変わる」ものと「変わらない」もの。
~ドイツサッカーの魅力とは~ 

text by

安藤正純

安藤正純Masazumi Ando

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photograph byBongarts/Getty Images

posted2009/06/24 06:01

「変わる」ものと「変わらない」もの。~ドイツサッカーの魅力とは~<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

オリバー・カーンの引退により、ドイツ人以外で初めてバイエルン・ミュンヘンのキャプテンに就任したマルク・ファン・ボメル(左)。ドイツサッカーを牽引し続けたバイエルンを'01年以来のチャンピオンズリーグ制覇に導けるか

ドイツ再興の原動力は、国民に根付いたサッカー文化だ。

 この7年でもっとも変わらなかったのは、何といってもファンのチームに対する関心の強さと愛情の深さではなかろうか。そしてもっとも変わったのは、着々と進む周辺環境の改善だと思う。スペインやイタリアでよく見かける陸上競技場兼用のスタジアムは、いまやドイツではほとんど見かけなくなった。この不景気なご時世で、レバークーゼン、ホッフェンハイム、アーヘン、シュツットガルト、マインツ、ブレーメンといったクラブが専用スタジアムへの新増改築(計画を含む)を行ない、世界のどこよりも快適で安全な観戦場所を提供してくれている。

 チームを支持するファンの熱意は、ファンクラブの会員数とスタジアム観戦客数で測ることができる。過去15年間、全試合平均で3万人以上を集客し続けるブンデスリーガだが、とくにこの5年間は毎年3万8000人を超えていて、前季は過去最高となる4万1914人となった。もちろん世界最高のレートだ。ファンクラブ会員もバイエルン、ドルトムント、ハンブルグなどで激増中だ。

 原則非公開のイングランドと違い、ブンデスリーガはどのチームでも「いつでも、自由に、無料で」練習を見学できる。これこそ今も昔も変わらぬドイツの長所である。練習場で選手との距離を縮め、満員のスタジアムではビール片手に贔屓チームと選手を応援するスタイルは伝統なのだ。つまり、サッカーの原点、サッカーとともに生きる喜びがこの国にはしっかり根付いていて、そうそう簡単には崩れないということである。

 ドイツサッカーの美点、ブンデスリーガの魅力をお伝えしてきたつもりだが、果たして十分に伝わったであろうか。21世紀になってからのドイツサッカーの戦績がパッとしないのは事実だが、ピッチ上での溢れんばかりの闘争心と絶え間ない向上心は見る者を必ずや虜にするはず。初めから“食わず嫌い”にならないで、一度ナマのドイツサッカーを味わってもらえたら、偏見も誤解も取り払われるはず、と思っている。これが私のメッセージだ。

 長い間のご愛読、誠にありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。

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