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グランプリシリーズ開幕戦で見えた、
浅田真央の「自分探し」の難しさ。 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2009/10/19 13:10

グランプリシリーズ開幕戦で見えた、浅田真央の「自分探し」の難しさ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

エキシビションの明るく華やかな滑りこそ本来の姿かも……。

 浅田本人もそのことをよくわかっている。

「実は今季のエキシビションで滑っているパガニーニの『24のカプリース』は、SP用でもいいかなと思って作ったプログラムだったんです。だからもしかすると、シーズン半ばでSPに変えることもありかもしれません。でも、今はまず『仮面舞踏会』を完成させたい、という気持ちが強いです」

 エキシビションのパガニーニで、浅田は試合とは別人のように明るく華やかに滑る。扇子を手にしてコケティッシュに舞いながら滑る彼女は、水を得た魚のように生き生きとして魅力的だ。だが試合で使うかどうかの決断は、彼女が自分で下さなくてはならないことだ。本当に楽しめるかどうかわかるのは本人だけなのだから。

 キムと浅田の35点もの点差は、もし五輪が来週開催されるのなら勝ち目はないだろう。だがこの二人のスケーターとしての本来の能力にさほど差があるわけではない。実際昨年度までは、勝ったり負けたりの互角なライバル関係だった。今キムが一歩先を進んでいるのは、スケーターとしての「自分探し」が順当に進んでいるからに違いない。

 浅田真央に必要なことは、4年前の彼女のように純粋に楽しんで滑る自分を再発見することではないか。そうすれば結果は自然についてくるはずだ。それだけの能力を彼女は間違いなく持っている。

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