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菊池雄星の扱いが中途半端過ぎる!?
斎藤佑樹と比較するルーキー育成法。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/05/07 08:00
昨年末には本人からの希望で、登録名を「雄星」から「菊池雄星」へと変更した。昨季の長く続いたリハビリ期間中は、ほとんどメディアにも出ることが無かった
昨年のゴールデンルーキー、菊池雄星に対する西武の扱い方が気になる。
開幕時は中継ぎ投手のひとりとして一軍入りを果たしたが、先日、一度も登板機会のないまま、二軍に降格してしまった。
しかし、ゴールデンルーキーの育成方法というのは、言ってみればボクサーのそれと同じようなものなのではないのか。日本ハムの斎藤佑樹を見ていて、つくづくそう思った。
致命傷を負わないよう、商品価値を下げないよう、でも、自信をつけさせながら、話題を提供しながら、最短距離で頂上に立たせる。
世界王者になったらなったで、今度はいかにお金を稼ぐかということも含め、また違った意味での努力が必要になる。
そのために所属ジムは、最大限、情報を収集し、お金を使うわけだ。そこがそれぞれのジムの会長らのマネジメント、腕の見せ所でもある。
そういう意味では、日本ハムはここまで実に見事な手腕を発揮している。
貴重なビジネスチャンスを生かすべく最大限努力している日本ハム。
キャンプが始まった頃から斎藤の起用法は一貫していた。
先発の5、6番手としてスタートさせ、5~6回まで3失点前後で抑えてくれればOK。あとはブルペン陣を総動員させてバックアップする――。
今のところ、まさに思い描いたプラン通りに事は運んでいる。
確かに、そんな態勢を甘いと見る向きもあるようだ。いわく、過保護すぎるのではないか、と。
だが、その見方は少し狭量すぎる。
日本ハムにとって、斎藤はおそらく10年に一度あるかないかの「ビジネスチャンス」だ。もっといえば、プロ野球界にとっても同じことが言える。
どんなに大事に扱ったところで大事にし過ぎるということはないはずだ。他の新人とは育て方が異なってくるのは当然のことなのだ。
それに、そうした境遇の選手にはその選手にしかわからない苦労もある。ルートが違うというだけで、決して楽な道を与えられているわけではない。
そこへいくと、西武の菊池雄星に対する育成方法は、まるで下位指名の無名の新人のようだ。