日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ザッケローニを強引に振り向かせる!
中澤佑二、マリノスからの逆襲。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/05/02 10:30
東日本大震災のチャリティマッチでの中澤。ザックジャパンに対し、Jリーグ選抜チーム「TEAM AS ONE」は2対1で敗れはしたが、闘莉王をはじめとするDF陣はどちらが代表チームか分からないほどに健闘した
「代表チームと真剣勝負できたことは非常によかった」
ケガの苦しみからようやく解放されたのは3月。5日のJリーグ開幕に何とか間に合わせ、月末にはJリーグ選抜のキャプテンとして日本代表とのチャリティーマッチにも臨んだ。ザッケローニ体制となってからは一度も日本代表としてプレーしていないだけに、あの試合で代表チームの現在地を確認できたことは中澤にとって非常に大きかった。
試合後、中澤はこのように語っている。
「今の代表チームはアジアカップで1カ月やってきて、選手みんなが自信を持ってプレーしている。オフェンスでもディフェンスでも迷いなくプレーしている感じがするし、自然な流れでサッカーをやれてますよね。そういうのを感じることができた。個人的に代表チームと真剣勝負できたことは非常によかった。僕も1対1の局面で絶対に負けられない、と思ってやりましたから」
手ごたえをつかんだうえで横浜に戻り、日々のトレーニングに励んできた。そして満を持して、Jリーグ再開の日を迎えたのだった。
33歳を迎えた中澤に代表復帰への道のりは険しいが……。
中澤は今年2月、33歳になった。
ケガの連続で代表から遠ざかったことにより、代表復帰の道はそう簡単ではなくなってしまっている。
中澤の居ぬ間に今野泰幸がセンターバックの軸となってザッケローニの信頼を勝ち取り、吉田麻也、栗原勇蔵、岩政大樹、伊野波雅彦、槙野智章がコンスタントに選ばれるようになった。指揮官は2014年のブラジルW杯を見据え、若手、中堅どころのセンターバックに目を向けているのが現状だ。
だが一方で、ザックジャパンが試合のなかで制空権の掌握に苦しんでいるのも、厳然たる事実。アジアカップでは178cmの今野では対応が苦しくなるところを189cmの吉田がカバーしたのだが、その吉田が競り負けるシーンも少なくなかった。押し込まれてしまうと、ザッケローニは高さのある岩政をオプションとして使って何とかしのいできた。いまなお今野の相棒を確立できてはいない。
世界との戦いになってくれば、高さを誇り、安定感のあるセンターバックが是が非でも必要になってくる。南アフリカW杯でも対戦国がフィジカルで劣る日本に対してパワープレーを仕掛けてきたことは記憶に新しい。中澤が全快となって安定したプレーを誇れば、ザッケローニも“無視”するわけにはいかなくなるだろう。