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ザッケローニを強引に振り向かせる!
中澤佑二、マリノスからの逆襲。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/05/02 10:30

ザッケローニを強引に振り向かせる!中澤佑二、マリノスからの逆襲。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

東日本大震災のチャリティマッチでの中澤。ザックジャパンに対し、Jリーグ選抜チーム「TEAM AS ONE」は2対1で敗れはしたが、闘莉王をはじめとするDF陣はどちらが代表チームか分からないほどに健闘した

「みんな(守備で)粘り強く頑張ってくれたし、いい勝ち方ができてよかった。今後もこういう戦いを続けていくことが大事になってくる」

 東日本大震災の影響で中断していたJリーグが1カ月半ぶりに再開。試合巧者の鹿島アントラーズを無失点で抑えた横浜F・マリノスの守備の要・中澤佑二は、淡々とした口調ながらも堅守で勝ち切った試合内容に対して、満足そうな表情を浮かべていた。

 制空権の掌握が、この試合のひとつのキーポイントであった。

 前半の鹿島はサイドで揺さぶりをかけながら、190cmの長身を誇る新外国人カルロンの高さを活かそうとしてきた。そこで立ちはだかったのが中澤。ボールの落下位置に素早く入ってカルロンを抑え続け、サイドからのクロスに対しても完璧に対応したと言ってよかった。空中戦だけでなく、前線の選手へと入ってくる足もとへのパスに対しても、素早いチェックでほとんど前を向かせることもなかった。

 ボランチ、サイドバックと連係した栗原勇蔵との強固な中央の守備。これが鹿島に焦りとミスを生ませた。

 カルロンの代わりに本山雅志が入った後半の立ち上がりこそ危険な時間はあったものの、最終ラインとボランチの間、そしてサイドバックの背後にスペースを与えないように修正していった。

 中澤の指示、ポジショニングは90分間通して的確であった。

南アW杯後、心身ともに窮地に追い込まれていた中澤。

 中澤の出色のパフォーマンスは、自身の“巻き返し”の合図ともなった。

 昨年の南アフリカW杯以降、中澤は度重なるケガに悩まされてきた。9月に右ふくらはぎで肉離れを起こすと、11月には左ひざ内側側副靭帯を痛めて全治6週間と診断された。そのリハビリ中に今度は右太腿裏を痛めてしまい、予備登録されていたアジアカップ出場の道は閉ざされた。また今年に入ってからも右太腿に違和感があったため、慎重に調整を進めてきた経緯がある。

 思いも寄らないケガの連鎖に、中澤は焦る気持ちとも戦っていた。昨年末に、その心のうちを聞いたことがあった。

「最初、ふくらはぎを痛めたときにはきちんと歩けるまでに2週間かかった。サッカーのことをあまり考えないようにしていました。考えると焦ってしまう。安静にしなきゃならないのに体を動かしてしまったら、逆効果になりますからね。だからボーッとする時間を意識的に増やしたりしました。精神的にきつかったですよ」

【次ページ】 「代表チームと真剣勝負できたことは非常によかった」

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