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凋落する名門、ローマとユベントス。
復活を期すふたりのカリスマ新会長。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2011/04/15 10:30

凋落する名門、ローマとユベントス。復活を期すふたりのカリスマ新会長。<Number Web> photograph by Getty Images

4月3日に行なわれた31節では名門同士が直接対決。クラシッチとマトリがゴールを決め、ユベントスが2-0でローマを下した

ユベントスの会長が「選手たちには責任がある」と一喝。

 スタイルやキャラクターは違えど、チーム再浮上の転機となったのは、それぞれの新会長の言葉だった。

「こんな無様な試合の後では、選手たちはシャワーを浴びる資格すらない。選手たちには責任がある。そこから逃れることは誰にも許さん」

 完敗した26節レッチェ戦の後、ユベントス会長アンドレア・アニェッリは激昂した。

 まだ35歳の青年会長は、フィアットグループ創業者の一族出身。帝王学を修め、昨年4月末に会長職に就任するや、次々に改革を断行。ビノーボ練習場に足しげく通い、今や最高経営幹部の一員となったネドベドとともに選手たちへ睨みを利かせる。

 今夏8月、ユベントスはついに最新の自前スタジアムのこけら落としを迎える。新本拠地のお披露目シーズンにCL出場を逃すなどあってはならない上に、クラブは成績不振から今季上半期だけで約4000万ユーロの赤字を計上した。CL収入は是が非でも必要なのだ。

ローマ会長に就任したのはMLBレッドソックスの株主!?

 一方ローマには、よりドラスティックな変化が訪れた。2月から3月にかけて、長く交渉が続いていたクラブ売却交渉がついに基本合意に達し、米国ボストンの投資家グループが約7700万ユーロでクラブ経営権を握ることに。

 18年間に及んだセンシ一族の時代の幕を下ろし、新会長の座に就くのは、MLBボストン・レッドソックスの株主でもあるトーマス・ディベネデットなる人物だ。温厚そうなイタリア系の61歳は早速ローマ入りすると、建設的ビジョンにあふれた公約を次々に並べた。

「今夏市場で6人の一流選手獲得」

「ソーシャル・ネットワークを活用して、ローマをグローバルメディアカンパニーへ」

「早急に自前のスタジアムを建設し、世界のトップクラブ入りする」

 サポーターが長らく待ちわびた強力なパトロン。統治者が外国人であっても、ローマが永遠のままであればそれでよい。

 オリンピコ・スタジアムには今、星条旗が幾本も翻っている。

【次ページ】 4位から7位までの勝ち点差6。潰し合い必至の情勢に!!

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