「9月のシーズン初戦とは思えない試合でしたね。全員が力を発揮して、『女子恐るべし』という…ジャンプだけで言ったら、オリンピックよりハイレベルなのでは? という状況でした。ついこの前までミラノ五輪の感動にひたっていたのに、これは本当に同じ競技だろうか?というぐらいの変化がありました」
女子にも大技が必要?時代の転換点に
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュア女子シングルでは、中井亜美選手がトリプルアクセルを決めて、ジャンプでは頭ひとつ抜けていた。しかし今回の大会は、トリプルアクセルを跳べることが標準…というレベルに変化した。野口さんも「時代が変わったと思います」という。
「ロシアがいない4年間は、女子はトリプルアクセルはなくても質で戦う、演技力で戦うという方針で滑りを磨いてきました。しかしここへきて、やはり大技が1本ぐらい必要なのでは…という流れになってきています」。ジュニアの時代からジャンプを作ってこないと、世界では勝てない。ジュニアの育成という意味で方向転換を迎えるタイミングになった、と野口さんは分析する。

とはいえ、ロシア勢に関してもまだまだ未知数なところが多い。これまでは15歳で高難度のジャンプを何本も跳ぶ選手が多かったが、ルール改正でシニアと認められる17歳以上の選手がどれぐらい4回転ジャンプを跳べるのかは、まだ正直わかっていない。しかしトリプルアクセルを確実に跳べることは、絶対に必要となってくるだろう。
ロシア勢の制裁は解除も、グランプリシリーズには出られず
そもそも今回の木下グループ杯には、なぜロシア勢が出場しているのか。2月のミラノ・コルティナ五輪では、特別の措置として制裁が解除され、男女1名ずつのみが個人の中立選手(AIN)の立場での出場を認められた。その後国際スケート連盟理事会でもさまざまな議論が行われ、今年からベラルーシ、ロシアの選手の制裁解除が決まった。

しかし全面的解除が決定されたのは、シニアグランプリシリーズのエントリー終了後。そのため、今年のグランプリシリーズにはロシア選手の参加は間に合わない。加えて、ヨーロッパ選手権と世界選手権は、前年の実績から枠が決まるため、ロシアは1枠のみ。他にチャンスがあるチャレンジャーシリーズであり、かつシーズンの初戦、ロシア選手にビザが降りる国、と考えていくと、今回の木下グループ杯がぴったりだったというわけだ。
強いライバルの出現で進化する島田真央
そんなロシア勢の出現に燃えたのが、島田真央選手だ。ジュニアの4年間、39戦負けなし。追われる身として勝たなければいけない、「勝って当然」のプレッシャーと戦うという、モチベーションの作り方も難しかっただろう、と野口さんは推察する。

「今回、ロシア勢がいなかったとして出てきたら、そのまま何事もなく優勝していたと思います。しかし強い選手たちが出てきて、刺激を受けていつも以上の力を発揮していました。本当にすごいです」
今後も進化が期待できる島田選手。そして五輪メダリストの中井亜美選手は、また違う難しさを抱えながらの出場だったのではという。続きはぜひ、ポッドキャストで聞いていただきたい。
- フォームも技術もレベルアップ!島田真央、進化の理由
- 中井亜美は「エントリーしたことがえらい」最高のスタートと評価
- 青木祐奈は五輪シーズン以上に滑れていた
- 出産を経て復帰したイグナトワ(旧姓トゥルソワ)のすごみと変化
- 今季はロシア勢をそこまで気にしない…その理由は?
シーズン初戦がクライマックスでは?と思ってしまうほど話題豊富だった大会。ここから本格的なシーズンに向けて、楽しみなことばかりだ。(9月9日収録)
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※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
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