女子編では、シニア1年目でいきなりオリンピック銅メダルを獲得した中井亜美の「2年目」について、悔し涙を流した千葉百音の決意、現役続行を決めた渡辺倫果、昨シーズンついに花開いた青木祐奈、そしてジュニア世界選手権4連覇の島田麻央の5選手について語り尽くした。
「中井亜美選手は、シニアに上がったシーズンでいきなりオリンピックの銅メダル。どんな心境なのか私も想像が難しいですが、やっぱり彼女からすると、次の4年後こそがシニアに上がってからの滑りの魅力だったり、ジャンプだったり、全部が揃ってくるタイミングになるんじゃないかなと思うので。そういう意味ではまた仕切り直して、さらにパワーアップしていこうという中での一歩目になるシーズンですね」
昨シーズン、いきなりのグランプリシリーズフランス大会の優勝に始まり、勢いそのままにオリンピックでも表彰台に上った中井選手だが、メダリストとして臨むというよりは、シニア2年目の難しさを感じるシーズンになるだろう、と野口さんは言う。
あこがれのスケーターへの気持ちを思い出して
シニア2年目の難しさとは、「去年こうだったから、今年もこうしよう」という、いらない前例が頭の中にちらつくことだという。1年目は何もかもが初めてだからよくわからず、緊張しない。初めての楽しさもあるし、「テレビで見ていた選手に会える!」といった気持ちで楽しんでいるうちに勝てている……といったこともある。

しかし2年目になると、「去年この人と当たって、私の方が上だった」といった情報や、「周りがこれぐらいのことは期待しているんだろう」といった雑念のようなものが入ってしまう。中井選手自身も「そういうことが起きるのはわかっている」と話しているという。
SPは「ポル・ウナ・カベサ(Por Una Cabeza)」、FSは「パリのアメリカ人」。浅田真央さんにあこがれてスケートを始めた中井選手が、あこがれの真央さんが演じていた曲を演じる。「そういう意味では初心に戻りやすいというか、オリンピックメダリストとしての立場ではなく、『真央ちゃんにあこがれていた小さい頃の自分』というところに気持ちを戻しやすい曲じゃんじゃないか、という印象はあります」と野口さんは言う。
4年後を見据えた千葉百音の新たなる挑戦
千葉百音選手は、オリンピック4位で悔し涙を流した。野口さんは「もう多分、見てるのは4年後ですよね」と話す。彼女が2026-27シーズンに選んだのは、SPが「007 スカイフォール」、FSは「月の光」と対照的な2曲だ。

007といえば、樋口新葉さんがカッコよく演じていたのをスケートファンならば思い浮かべてしまう。野口さんは演技を実際に見て、「千葉さんの007は、女性らしさ、しなやかさが入った007ですね」と評する。千葉選手は「自分がついついきれい系になりやすいので、あえて雑な感じをうまく出すようにするのが、新しい挑戦です」と話した。
千葉選手の持ち味はふわりとした柔らかい雰囲気。出そうとしても出せない選手もいる中、普通に演技をするだけで柔らかさが出るのも彼女の魅力ではあるが、そこを打ち破り、「ニュー千葉百音」を作るべく新たに模索している。
シニア1年目で全日本優勝候補、島田麻央
そして台風の目となるのが、ついにシニアに上がった島田麻央選手だ。昨年も全日本選手権で2位となり、順位からいけば今年は優勝候補。他のシニア勢からすると「いよいよ本当の戦いの時代が来た」という感じだ。
島田選手は世界ジュニア4連覇のみならず、ジュニアでの公式戦39連勝と、無類の強さを誇った。中井選手とは誕生日が半年違うだけだが、ISUの年齢制限の規定により昨シーズンはシニアに上がれなかった。

「逆にジュニアで感じていたプレッシャーが重かった、と本人も話しています。特に(世界ジュニア)3連覇ぐらいからつらそうな感じになってきたところもあります。そういう『ジュニアで勝たなきゃ』という思いや責任感から解放されて、今回はいいシーズンを送ってくれるのかなという予感はしています」
彼女がシニア1年目のシーズンに選んだのは、SPは「Between to World」、FSはさまざまな曲を組み合わせたもので、島田選手曰く「雨乞いの祈りの曲です」という。2つの曲に込めた彼女の想いとは……。
ポッドキャストでは他にも、以下の話題を話している。
- 中井選手のFSはデイビッド・ウィルソンさん振り付け。生かされる2人の良さ
- 千葉選手の「月の光」はバッチリハマって「何回も見たい!」
- ショートからトリプルアクセルを。島田選手のジャンプ構成がすごい
- スピンでも点数が取れる、島田選手の戦略とは
- 現役続行、渡辺倫果選手は環境も変えて新たなスタート
- 青木祐奈選手の「踊れる世界観」は彼女だけのもの
- 四大陸選手権で青木選手が刺激を受けた選手とは?
無類の強さを誇った女王・坂本花織さんが引退し、群雄割拠といった様相の女子フィギュア界。それぞれの背景や想いを知れば新シーズンがもっと楽しみになること間違いなし。熱が入っていつもより長くなってしまったポッドキャスト、男子と合わせてぜひお聞きください。(7月19日収録)

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