往路14位と出遅れた状況からのシード権獲得の舞台裏には、どんな計画があったのか。レースを振り返ってもらうとともに、「まな板の上の鯉のようだった」と振り返る最後までわからなかった10区、そして2区で好走したキャプテンでエースの山中博生選手のこと。さらには進化していく陸上長距離界についてなど、さまざまな話題で53分間じっくりとお話をうかがいました。
「彼らの可能性というのは、私が思う以上に無限大なんだなと思うんです。失敗もするけど成功もさせて、飛躍していけばいいのかなと思います」
1区、2区と好スタートを切るも、3区区間17位、4区区間13位、5区区間17位と苦しみ、往路終了時点では14位。シード権を狙うのは苦しい位置とも思われましたが、中野監督は選手たちに「8番取るよ!」と声をかけたといいます。
「タイム差を見ると8位の立教大学まで2分1秒でした。2分なら湯本の手前の直線で見ることができて、狙い撃ちできる。復路組にも応援組にも、『全然捨ててないよ』と声をかけたんです」
迎えた復路では、6区の廣田陸が区間4位の好スタートで12位に浮上。その後も粘りの走りで、9区が終わった時点ではシード圏内の9位に入っていました。6区から9区までは自信を持って送り出したという中野監督。「不安があるとしたらアンカーの1年生」、小林咲冴でした。
箱根駅伝の1週間前に10000mを29分ちょうどで走っていた小林。上級生にも候補の選手がいる中、中野監督が小林に「7区から10区の中だったらどこがいい?」とたずねると、迷わず「10区」と言ってきました。4校中3校がシードというハラハラする展開の中、積極的に動く小林に対して中野監督が思っていたこととは…。

今回2区を走った主将の山中博生は、9月に彼の方から「3本(出雲、全日本、箱根)だけでいいですか?」と相談をしてきたといいます。通常は八王子ロングディスタンスや日体大記録会などで10000mのタイムも狙いつつ…というのが定石ですが、中野監督も山中の思いを尊重しました。
「私の方が大丈夫かなと思ったんですが、それぐらいの覚悟でトライしてくれるなら全然いいかな、と」
山中は1時間6分22秒で区間5位。「本当に区間賞を取らせるつもりだった」というほど調子が上がっていました。東京国際大のリチャード・エティーリ、創価大の吉田響、青山学院大の黒田朝日が1時間5分台を出すという異次元の高速レースになり、区間賞は取れなかったものの、各校のエース格の選手に勝ったことは大きいと中野監督は評価します。
動画ではほかにもさまざまな話題について語っています。
・10区のつばぜり合いを「名レース」と評価する理由
・競り合った東京国際大、東洋大、順大の選手への思い
・帝京のチームは「強さはないけど面白さはある」
・3〜5区で沈むも「その3人が弱かったとは思っていない
・超高速化する箱根駅伝、その要因は?
・「厚底シューズネイティブ世代」のトレーニング
・卒業後マラソンに卒業する山中と“マラソンへの適性”とは
・今年で就任20周年。中野監督が箱根駅伝の未来に思うこと
「私も箱根駅伝に育ててもらいましたから。将来学生たちが、『箱根駅伝をやってて良かった』と思ってくれたら最高かな」と笑顔で話した中野監督。“中野節”ともいえる話術を楽しめるロングインタビュー、ぜひご覧ください。(1月28日取材)
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