今回、63年ぶりのシード権獲得に挑んだ立教大学。往路は8位で折り返すも、復路で激しいシード権争いに巻き込まれ総合13位。大手町でアンカーの永井駿選手(3年)を待つ安藤選手は、悔しさと達成感が入り混じったような、何とも言えない表情を浮かべていました。
「その通り、何とも言えない気持ちでしたね。自分たちとしては割としっかり走れたなと感じる部分は多くあったと思うので。それでも戦えなかった、シード権争いができなかったという悔しさ半面、チームとしての出来は悪くなかったので充実感も多少はありました」
安藤選手は2年連続の9区で区間11位。自身の走りに満足はしていないものの、個人・チームともに大きな成長を感じた一年間だったといいます。
それもそのはず、立教大は前回の箱根駅伝予選会直前、前監督が突然の退任。安藤選手は監督不在の中でキャプテンに就任しました。本選後の約3ヶ月間は、安藤選手が主体となって前監督の練習をベースにメニューを組み立て、さらにポイント練習では全員の練習が終わるまでグラウンドに立ち、“学生コーチ”のような役割も果たしていたそうです。
そして昨年4月、駒澤大のコーチだった髙林祐介監督が就任。安藤選手は、当時の率直な心境をこう振り返ります。
「え、来てくださるんですか!?という感じですね。チーム状況もあまりよくなかったし、下手したら(1年間)来ないかもなと思っていたので。まずは指導者が来てくださるのがすごくうれしかったし、しかも髙林さんというのは驚きと感謝でした」
一方、チーム内には「立教が“駒澤化”するのでは」という漠然とした不安もあったよう。はじめは新監督の練習方針などに対してさまざまな意見が噴出。そこで安藤選手は、選手から意見を吸い上げ、監督に彼らの考えを伝えるなど、いわば“通訳”の役目を担ったそうです。
高林監督も、安藤選手の働きについて箱根駅伝前のNumberのインタビューでこう語っています。
「安藤はある意味自分を犠牲にしながらやっていた子。そういうことができる子はなかなかいないので尊敬できる、すげえなと。途中からチームに加わりましたが、安藤が上手く間に入ってくれたからやり取りができているなと思っています」
立教は今季、かつてないほど躍進しました。箱根駅伝予選会のトップ通過、全日本大学駅伝では初出場でシード権獲得。そのチームの「要」は、まさしく安藤選手でした。
動画では、他にも以下の話題について聞いています。
- 9区区間賞・髙林監督から与えられた“ミッション”
- 終盤、運営管理車から聞こえてきた「言葉」
- 「髙林さんが一番…」主将から見た新監督の苦労
- 「身体を張っていたので…」次期主将へのアドバイス
- 卒業後は一般就職。就活に「箱根」は生きた?
取材を通して印象的だったのは、安藤選手を揺さぶった「運営管理車からの声がけ」。髙林監督のシンプルな一言には、信頼や感謝、激励…さまざまな思いが込められていたように思います。ぜひご覧ください。(1月16日取材)
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