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生死の狭間に垣間見る、クライマー魂の真髄。

2009/03/08

 山岳クライミングは果してスポーツなのだろうか。本映画「運命を分けたザイル」を観終えて、そんな問いが頭を駆けめぐった。

 舞台は'85年、アンデスの氷壁である。2人の若者が難ルートの初登攀に成功するが、下山中に1人がスリップし、片足を負傷してしまう。燃料、食料はすでにない。現場は、助けなど呼ぶべくもない絶境だ。冷静に死を観念する青年と、それを見下ろすパートナーの冷厳な目。見捨てるのか、運命を共にするのか。物語はここから走り出す。やがてクライマーはさらに過酷な選択に直面する……。

 原作は世界14カ国語に翻訳されたベストセラー『死のクレバス』(岩波現代文庫)である。著者は当事者の1人、ジョー・シンプソン。つまり、これは20年前に起きた実話なのだ。

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