#1019
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「こういう17歳もいるんだぞ」鍵山優真、シニア1年目の挑戦と言葉を振り返る「2人を前に『勝ちたい』と言葉にするのはためらっていた。でも…」

2021年、17歳の鍵山
羽生結弦と宇野昌磨、2人のトップスケーターの背中を追う、今季シニアデビューの17歳の俊英。全日本の大舞台で受けた衝撃と、そこで再認識した「本当の自分」のあるべき姿をインタビューで語った。(初出:Number1019号 鍵山優真「こういう17歳もいるんだぞ」)

 NHK杯で17歳ながら初優勝を遂げた鍵山優真は、全日本選手権での今季初めての羽生結弦、宇野昌磨との戦いに向け、メディアで勝利宣言を繰り返していた。

「『優勝する』と口にすることで、自分のやる気も変わりますし、練習の仕方も『これで本当に優勝できるのか』と確認しながら集中できます」

 若き羽生結弦を思い起こさせる負けん気の強さで、長野入り。12月24日、長野・ビッグハットでの練習で、羽生とは10カ月ぶり、宇野とは1年ぶりに再会した。

「会場に入るだけで緊張感がありました。久しぶりに一緒の練習ですごく刺激も受けましたし、2人のジャンプの状態を見たら調子も良くて、『本当に練習してきたんだな』と思いました」

 ショートでは、鍵山は見事に2本の4回転を成功させ、98.60点。転倒のあった宇野を抑えて、2位発進となった。

「正直、びっくりしました。でも宇野選手は連続ジャンプが転倒で抜けても94点なんて、むしろ凄すぎます。抜いたという実感は全然ありませんでした」

 羽生まで約5点。宇野との点差は約4点。3者は接近。その夜、ひとり考えた。

「点差的に『もしかしたら』と思っちゃう気持ちもありました。フリーへの切り替えがすごく難しくて、やはり一番は自分の調子なので集中しようと思いました」

 迎えたフリー本番。宇野の演技中盤に、廊下から会場に入ると、目が釘付けになった。宇野が演技後半に4回転をリカバリーで入れたのだ。

「久しぶりに生で見ることが出来たので、次が自分の出番なのに、観客みたいに『すごい!降りた!』って拍手してました。リカバリーは本当に凄くて、意地でも締めて降りる凄さを感じました。僕だったら、前半で体力を失っているし、後半に予定外の4回転なんて考える余裕もないです」

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photograph by Miki Fukano

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