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「メロディの裏にある細かい音を拾って」鍵山優真17歳の“音感”と世界で感じた“想像以上の重圧”<父子インタビュー/2020年>

ジュニアのラストシーズンだった2020年にインタビューに答えた鍵山
昨年11月の全日本ジュニアで悲願の優勝を遂げると、全日本選手権、四大陸選手権ではシニア選手を相手に表彰台を勝ち取る快挙を見せた。元五輪選手の父と、その才能を受け継いだ息子が、飛躍への軌跡を振り返る。(初出:Number PLUS FIGURE SKATING TRACE OF STARS 2019-2020シーズン総集編 [父子が語った激動のシーズン] 鍵山優真 「五輪に向けて上げていきたい」)

「皆から言われますが、やっぱり膝ですね」

 父の鍵山正和から子の優真へ。受け継がれた能力を聞かれると、2人は声を揃えて言う。父の正和氏は、アルベールビルとリレハンメルの2大会に出たトップアスリート。『猫足着氷』といわれる、なめらかなランディングが持ち味だった。息子の優真の身長がほぼ同じになった今季、遠目には正和氏が復帰したのかと思うくらいに、そっくりだ。正和氏は言う。

「膝の柔らかさは、他の生徒には大きな声では言いにくいけれど、持って生まれたモノ。こればかりはね。でも僕自身も、ジャンプのランディングで負担を軽くするために膝や足首のトレーニングはしていましたし、優真に対しては、股関節などの柔軟も小さいころから徹底的にやってきました」

©MURAKEN
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 一方で、演技力は優真の持ち味だと、正和氏は言う。

「親バカだとは思いますが、優真はリズム感がすごく良いんです。小学校の運動会でも、カウントをダブルで取っていたりして『この子は違うな』と感じていました」

音楽を聞きこみ、音を身体に刻み込んでおく。

 優真自身もリズムにはこだわりがあった。

「音の捉え方は、自分も気にしてやって来ました。演技中は、ジャンプに集中すると大まかな音しか耳に入ってきません。普段から落ち着いて音楽を聞き込んで、大きく流れるメロディの裏にある細かい音を拾って身体に刻み込んでおくんです。演技の時に身体が反応してくれます」

 優真の演技力に火が付いたのは'16年、軽井沢から横浜銀行アイスアリーナへと親子で移転したのがきっかけだった。そこで同リンクの振付師・佐藤操に出逢った。正和氏は言う。

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photograph by MURAKEN

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