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「あの雨が僕の運命を変えた」高校3年夏…イチローが語る“ベストゲーム”とは?「僕にとってはとんでもなく意味の深い試合」《インタビュー/2005年》

ベストゲームねぇ。
そんなの、存在しない(笑)。まず、今の僕にはベストゲームという概念がないし、どのゲームだってベストになり得ません。だって、必ず何かが欠けてしまいますから。もちろん、常にベストにしたいと思ってますよ。打席に立ったときだって、そう。いつだってベストにしようと思ってる。すべてをベストにすることはできなくても、次の打席では絶対にベストにしようと思っているんです。でも、そうはならない。野球って、そういうゲームだと思いますね。
自分の技術に自信を持つ前は、相手のミスを待っていたんですけど、技術に自信を持ってからは相手のベストを待っている。だから難しいんです。本当にベストだったと思うためには、自分だけではなくて相手のベストも必要になる。力の落ちる相手をコテンパンにやっつけたからといって、ベストにはならないでしょう。最高のピッチャーが、最高の場面で、最高のボールを投げてくる。それをすべて打たなければ、ベストにはなり得ない。
だから僕にとってのベストゲームだとは言えないんですけど、印象に強く残っているゲームがあるんです。それは、高校時代。高校3年の夏、愛知県大会でベスト8まで勝ち進んで、そこで中京と当たったんですけど、あのゲームですね。あの試合は僕にとってはとんでもなく意味の深いゲームでしたから、すごく印象に残っています。
鈴木はニコリともせず、ガッツポーズもしないで…
1991年、7月29日。
夏の甲子園を賭けた愛知県大会。愛工大名電は、準々決勝で中京と激突した。その年の春、センバツに出場していた名電は、4番鈴木一朗を中心とした強力打線を武器に5回戦までをほとんどコールドゲームで勝ち上がってきた。一方、名門・中京も、大会ナンバーワン右腕の木村高司を擁して、準々決勝までの5試合をすべて完封勝ち。夏春夏の3季連続甲子園出場をめざしていた愛工大名電にとって、中京は避けて通れない強敵だった。
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