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「ご飯を食べていても呼吸の仕方が…」イチローが語った“6年目の孤独”と弓子夫人が“立てかけた写真”「弓子って、カッコいいことするんですよ」《インタビュー/2006年》

2025/03/03
またもプレーオフ進出を逃したマリナーズ、意識の低いチームメイト……。そんな周囲との温度差のなか、苦しみながらも6年連続200安打を達成した。想像を絶する重圧のなかで孤軍奮闘したイチローが、その胸の内を明かす。(初出:Number665号 イチロー「6年目の孤独」 NumberPLUS「イチローのすべて」にも掲載)

 誕生日にゲームをしていたのは、5年も前のことだ。イチローが28歳になった2001年10月22日、ヤンキースタジアムでア・リーグのチャンピオンシップに敗れたマリナーズは、以来、プレーオフを戦っていない。

 そして今年、イチローは33歳になった。彼は、ヤンキースに屈した2001年から毎年、200本のヒットを打ち続けている。シーズンが終わればゼロにリセットされて、再び積み上げる200という数字。6年も続いていることで逆に当たり前だと思われかねない偉業に、イチローはずっとこだわっている。

「150本のヒットしか打てなくて、チームがワールドシリーズに勝っても、心の底からは喜べない。僕はそう思います……」

 世界一になれなくても、200本のヒットが打てればいい、と言っているのではない。世界一になるために、200本のヒットが打てる自分であることが先に来ると、イチローはそう言っているのだ。そして、6年目の200本は、どの年とも同じではない。

イチローが声を張り上げた「6タコは、いつ以来ですか」

 あれは、ピッツバーグでのオールスターの直後、2006年7月15日のトロントでのことだった。試合後、イタリアンレストランでお気に入りのリゾットを食べて、他愛もない話で盛り上がった帰り道。ホテルに到着する直前、後部座席のイチローが突然、声を張り上げた。

「6タコは、いつ以来ですか」

 イチローから飛び出した“6打数ノーヒット”を意味するこの言葉に、一瞬、ギョッとした。食事の席ではその話題はタブーとばかり、野球の話は切り出さなかったというのに、まさかイチロー自身がNGワードを口にするとは思いもしなかったからだ。もちろん、6タコについてはすでに記者席でも話題になっていたため、イチローの問いかけには、「去年の7月31日以来」だと即答できた。するとイチローは、意外に明るい声でこう言った。

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photograph by Ai Iwane

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