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「生物としての大きさ、強さが…」湊川親方(元貴景勝)が解説する大の里、豊昇龍ら“強いヤツ”の武器「野生の動物の世界と同じです」

2025/07/06
湊川 貴信 / 大の里 ONOSATO 『馬力』
幕内上位の関取たちは、それぞれが必勝の形、必殺の技を持っている。そしてその一端を知ることで、相撲観戦はもっと楽しく、面白くなる。昨年現役を引退した元大関・貴景勝の湊川親方がレクチャーしてくれた。(原題:[湊川親方が解説]強いヤツには武器がある)

 大の里関の武器は、技うんぬんよりまず、生物としての大きさ、強さにあります。体格に恵まれ、スピードも兼ね備え、前に出る馬力がまったく違います。少し前までは、我慢すれば引いてくれるという弱点がありましたが、最近はそれも克服しました。引かなくなったというより、前に出る圧力がさらに増し、引く必要がなくなりました。

 私はもともと体が小さく、現役時代は無理をして170kgまで増量していました。500mlのペットボトルに水をパンパンに入れているようなもので、ちょっとキャップを緩めれば水があふれ出す、ギリギリの状態です。大の里関は、2リットルのペットボトルに1リットルくらいしか水が入っていない状態で幕内上位へ駆け上がり、さらに水を入れて大きく、強くなりました。それでも1.5リットルくらいで、まだ余裕があります。

 相撲は基本的に体の大きな者が有利。野生の動物の世界と同じです。格闘技全般にあてはまりますから、柔道やボクシングが体重別なのもうなずけます。しかし、大相撲は体重無差別で、小さい者が大きい者に勝つこともあります。脳が発達した人間は、体格差をどう打開するかを考えることができるからです。実際に、圧倒的な体格を誇る大の里関でも負けることがあります。幕内上位で活躍する力士は皆、それぞれの強みがあり、生物学的に上位の相手にも勝てる武器を持っているのです。それが大相撲の大きな魅力でもあります。では、一人ひとりの力士がどんな武器をもっているのか、解説していきましょう。

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photograph by Yuki Suenaga / JMPA

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