#1014
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【伝説の試合を振り返る】ダルビッシュ有と『未完のパーフェクト』…完全試合まで「あと1人」と「TJ手術前最高のピッチング」の真髄とは?

2024/09/08
2013年4月2日、ヒューストン・アストロズとの一戦に先発したダルビッシュ有
海を渡った日本のエースが迎えた2年目のシーズン初登板。敵地のボールパークは回を追うごとに異様な空気に包まれていった。長いメジャーの歴史でも極々稀な“奇跡”があらわれそうな夜。その瞬間はすぐ眼の前にあった。(初出:Number1014号 圧倒的実力を証明した未完のパーフェクト。)

 Dominate.

 ドミネート、圧倒する。

 球界最高峰のメジャーリーグという世界で、プライドも技術も高い打者を圧倒するのは並大抵のことではない。

 2012年にテキサス・レンジャーズに入団したダルビッシュ有は、相手打線を圧倒する投球を幾度となく見せてきたが、中でも、“傑作”と目されるのは、'13年4月2日、ヒューストン・アストロズとの一戦である。この試合、ダルビッシュは、まさに相手をドミネートした。

 この年の春、アリゾナ州のサプライズ(ここには美味しいフォーのお店があった)にあるキャンプ地に取材に赴くと、旧知のアメリカのスポーツ誌の記者がこんな話をしてきた。

「ダルビッシュという投手は面白いね。とってもいい投球をして勝ち星をあげているのに、『改善点がある』といって、メカニック(注・投球技術)をちょっといじってしまう。必ずしも、それがプラスに働くとは限らないんだけど、とにかく彼は探求心が旺盛だ。日本でもそうだったのかい?」

 メジャー2年目を迎え、ダルビッシュは配球についてトライ&エラーを繰り返していたようだったが(いまもこの学究肌は変わっていない)、シーズン初登板となったアストロズ戦で、ダルビッシュはキャンプでの研究成果を披露する。

 先頭のホセ・アルトゥーベを三振に切って取ると、3回まで三振6。4回には1番から3番までを三者連続三振、6回までに三振は11を数え、ランナーをひとりも出していなかった。

 パーフェクト、完全試合の予感―。

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photograph by AFLO

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