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【ウマ娘インタビュー】エイシンフラッシュは“正しい選択”の想定も想像も超えて…「父はマイスターの資格を持つ職人でした」

2024/05/21
史上最高とも言われた強豪揃いのダービーで栄冠を手繰りよせたのは、閃光の如き末脚だった。彼女が秘めていた勝利への欲求を解き放ったのは、かつての三冠ウマ娘。決して予定通りでなかった夢の舞台に至る日々を本人が振り返ってくれた。(原題:[ダービーウマ娘インタビュー]エイシンフラッシュ「想定も想像も超えて」)

 エイシンフラッシュというウマ娘について興味を持ったのは、以前ミスターシービーに、印象的な後輩について尋ねた時のことだ。何人かの名前を挙げたあと、シービーは言った。

『あとはエイシンフラッシュかな。あの子も面白いね』

 あの時の彼女は、なぜかとても楽しそうだったことを覚えている。

 シービーほどの実力者が「面白い」と評していたと伝えると、当の本人はとても驚いた様子だった。

「そうですか……。想定外ですが、ありがたいです。ダービーを勝つまでの過程には、シービーさんのお力添えが欠かせませんでした。あの方と出会わなければ、私はダービーを勝てなかったかもしれません」

©Cygames, inc
©Cygames, inc

真面目で几帳面、ダービーを走ることも「予定」のひとつ。

 エイシンフラッシュは、ドイツでケーキ屋を営む両親の元で生まれ育った。留学生の多いトレセン学園のなかでも、ドイツ出身というのは極めて稀だ。

「父はマイスターの資格を持つ職人で、母はかつてレースを走るウマ娘でした。引退してから同じように資格を取得して、今は父を手伝っています。なすべきことをなし、正しい道を全うする2人を、私はとても尊敬しています。そして、両親のように歩みたいと思っています」

 真面目で几帳面な性格は父親譲りなのだろう。レシピ通りの工程を踏むことが何より大事なケーキ作りのように、彼女は何カ月も先まで決められた分刻み、秒刻みのスケジュールを寸分も違わずこなす。ダービーに出走することもまた、幼い頃から心の中に組み込まれた「予定」だった。

「子どもの頃、母がドイツのダービーを見せてくれたことがあります。レース自体も素晴らしいものでしたが、その時に日本のダービーもとても盛り上がるのだと教えてくれたのです。私が『そのレースで走れば、私もすごい?』と聞くと、笑顔でこう答えてくれたのです。『super、toll、klasseです、フラッシュ!』と」

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photograph by ©Cygames, inc

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