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【豪華対談】「2区、5区?」「チームへの意識は?」渡辺康幸と柏原竜二が考える“エースの条件”<山の神が興奮した3区の名勝負も>

2023/12/29
ただ「速いだけ」の選手はエースと呼ばれない。仲間を引っ張り、信頼され、期待をその双肩に負う。過酷な箱根路で「エース」に求められる要素とは?

――おふたりが考えるエースの条件について話を聞かせて下さい。

渡辺 まずは安定感というか、指導者が絶対の信頼を置いて任せられる選手。こっちが特に指示しなくても、ひとりで何でもしてくれるっていう。

柏原 康幸さんの教え子でいうと、どなたが思い浮かびますか。

渡辺 教え子だとやっぱり竹ちゃん(竹澤健介)だね。1年生から箱根駅伝を走って、2区と3区で区間賞を獲ってくれた。留学生ランナーのモグス(山梨学院大)にも負けなかったですから。

柏原 竹澤さんと佐藤悠基さん(東海大)が最終学年で同じ3区を走ったじゃないですか。あれは僕の中での名勝負ですね。レース中に交わることはなかったですけど、最後にここでふたりの直接対決があるのかって、めちゃくちゃ盛り上がりました。

渡辺 あのふたりは大学生の頃からもうヨーロッパに遠征したりして、実業団選手とも互角に渡り合えるだけの実力を持っていた。今も各大学にエースはいるけど、ちょっと格が違った気がする。

柏原 じつは僕が高校生の時に、兄貴から「竹澤ってやつがすげぇんだ」って話を聞いていたんです。映像を見たら本当にきれいなフォームで走っていて、どんな足の接地をしているんだろうって、何度もビデオでコマ送りして見ました。

Bungeishunju
Bungeishunju

渡辺 大学3年時(2007年)に5000mを13分19秒で走って、北京オリンピックの参加標準記録も突破した。厚底シューズがまだない時代にあの記録ですから。

柏原 竹澤さんもそうだと思うんですけど、エースになる選手ってみんな芯の強さを持ってますよね。やりたいこと、やり遂げたいことが明確で、言動がブレない。何かひとつのことに対して変人くらい突き詰められる選手は面白いです。

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photograph by Yuki Suenaga

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